
工事請負契約書の印紙税はいくら?金額一覧・軽減措置・不要になるケースを解説
※本記事は2026年7月時点の法令・情報に基づいています。
工事請負契約書を紙で作成すると、原則として印紙税の課税対象になります。工事の完成と報酬の支払いを約束する契約書は、印紙税法上の「請負に関する契約書」に該当するためです。
必要な収入印紙の金額は、契約書に記載された工事代金によって異なります。さらに、建設工事請負契約書には2027年3月31日まで軽減措置が設けられており、通常より低い税額が適用される場合があります。
一方、記載金額が1万円未満の契約書や、電子データのみで締結する電子契約などには、原則として収入印紙が必要ありません。
本記事では、工事請負契約書の印紙税額を一覧で紹介します。軽減措置の適用条件や貼り忘れた場合の過怠税、印紙税を適法に抑える方法も解説します。

工事請負契約書の印紙税額一覧
工事請負契約書は、一般に印紙税法別表第一の「第2号文書」に該当します。印紙税額は、契約書に記載された請負金額を基準に判定します。
軽減措置の要件を満たさない請負契約書には、本則税率が適用されます。一方、一定の建設工事請負契約書には、2027年3月31日まで軽減税率が適用されます。
契約書の名称だけでなく、工事内容や契約条件から判断する点が重要です。
本則税率|通常の工事請負契約書に適用される印紙税額
第2号文書に該当する請負契約書の本則税率は、次のとおりです。
契約書の記載金額 | 本則の印紙税額 |
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 1,000円 |
300万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 |
10億円超50億円以下 | 40万円 |
50億円超 | 60万円 |
契約金額の記載がないもの | 200円 |
建物の設計や工事監理、機械の保守・修理のみを請け負う契約は、建設工事の軽減措置に該当せず、本則税率が適用される場合があります。
軽減税率|建設工事請負契約書に適用される印紙税額
一定の建設工事請負契約書には、2027年3月31日まで次の軽減税率が適用されます。
契約書の記載金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
100万円超200万円以下 | 400円 | 200円 |
200万円超300万円以下 | 1,000円 | 500円 |
300万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超 | 60万円 | 48万円 |
軽減措置の対象となるのは、記載金額が100万円を超える建設工事請負契約書です。1万円以上100万円以下の契約書には軽減措置が適用されませんが、本則税率も200円です。記載金額が1万円未満のものは非課税です。
参考:建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置|国税庁 新しいタブで開く
工事請負契約書で収入印紙が不要になる3つのケース
工事請負契約書であっても、契約金額や締結方法、契約当事者によっては収入印紙が不要です。主なケースは、次の3つです。
1. 記載金額が1万円未満の契約書
第2号文書に該当する請負契約書は、記載金額が1万円未満であれば非課税です。たとえば、工事代金が税込み9,900円と記載されている工事請負契約書には、原則として収入印紙が必要ありません。記載金額がちょうど1万円の場合は、200円の印紙税がかかります。
ただし、一つの契約書に複数の課税事項が記載されている場合は、所属する文書の種類が変わる可能性があります。工事以外の契約内容を含む場合は、文書全体から判断しましょう。
2. 電子契約で締結した契約書
契約内容を電磁的記録として作成し、電子データのみで締結する電子契約は、原則として印紙税の課税対象になりません。印紙税は、印紙税法で定められた「文書」を作成した場合に課されます。現在の取扱いでは、電子データは印紙税法上の文書に該当しないとされています。
ただし、電子データを印刷し、署名・押印した紙を契約原本として相手方へ交付した場合は、紙の課税文書を作成したと判断される可能性があります。
参考:取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い|国税庁 新しいタブで開く
3. 国・地方公共団体との契約で民間事業者が保管する契約書
国や地方公共団体が作成する文書は、印紙税法上の非課税文書です。国や地方公共団体と民間事業者が共同で工事請負契約書を2通作成した場合は、どちらが保管するかによって取扱いが異なります。
民間事業者が保管する契約書は、国や地方公共団体が作成した文書とみなされるため、収入印紙は不要です。一方、国や地方公共団体が保管する契約書は民間事業者が作成したものとみなされ、民間事業者側に納税義務が生じます。
2027年3月31日まで建設工事請負契約書の軽減措置が適用
建設工事請負契約書に対する印紙税の軽減措置は、2027年3月31日までに作成される契約書に適用されます。対象となるかどうかは、契約書の作成日、記載金額、工事内容から判断します。
記載金額100万円超の建設工事請負契約書が対象
軽減措置の対象は、記載金額が100万円を超える建設工事請負契約書です。対象となる「建設工事」とは、建設業法第2条第1項に規定される以下の工事を指します。
建築一式工事
土木一式工事
電気工事
管工事
塗装工事など
当初の工事請負契約書だけでなく、工事代金や工事内容を変更する変更契約書、補充契約書なども、一定の要件を満たせば軽減措置の対象です。なお、契約金額が記載されていない契約書は、軽減措置の対象にならないため注意しましょう。
設計・保守・機械修理のみの契約は軽減措置の対象外
軽減措置の適用は、契約書が建設業法上の「建設工事」の請負に基づいて作成されたものかどうかで判断します。そのため、次のような業務のみを対象とする請負契約書は、第2号文書に該当する場合でも軽減措置の対象になりません。
建物の設計
工事監理
建設機械等の保守
船舶の建造
機械等の製作・修理
ただし、機械や設備に関する契約でも、設備の設置・改修・修繕など、実際の作業内容が建設業法上の建設工事に該当する場合があります。契約名だけではなく、作業内容をもとに判断する必要があります。
また、建設工事と設計業務などを一つの契約書に記載した場合は、建設工事以外の請負金額を含めた契約書全体に軽減措置が適用されます。たとえば、建設工事5,000万円と設計業務500万円を同じ契約書に記載した場合、記載金額は合計5,500万円となり、軽減後の印紙税額は3万円です。
工事請負契約書の印紙を貼り忘れたら?契約の有効性と過怠税
工事請負契約書へ収入印紙を貼り忘れると、過怠税が徴収される可能性があります。必要額より少ない印紙を貼った場合や、消印を忘れた場合も同様です。
収入印紙が貼られていなくても契約自体は有効
収入印紙は、契約を成立させるために貼るものではありません。工事請負契約書に収入印紙が貼られていなくても、それだけで契約が無効になるわけではありません。
収入印紙の貼り忘れは、印紙税の納付に関する問題です。契約当事者の合意が成立しているか、契約書が証拠として利用できるかとは別の問題として扱われます。
ただし、税務調査で不納付を指摘される可能性があるため、貼り忘れに気づいた場合は早めに所轄税務署へ相談しましょう。
過怠税は本来の印紙税額の原則最大3倍|自主申出 申告なら1.1倍
課税文書へ収入印紙を貼らずに作成した場合は、原則として納付しなかった印紙税額の3倍に相当する過怠税が徴収されます。
たとえば、本来1万円の収入印紙が必要だった場合、過怠税は合計3万円です。
税務調査で指摘される前に「印紙税不納付事実申出書」を提出し、一定の要件を満たした場合は、過怠税が本来の印紙税額の1.1倍に軽減されます。
必要額より少ない印紙を貼った場合は、不足額を基準に過怠税が計算されます。過怠税は、法人税の損金や所得税の必要経費に算入できません。
参考:No.7131 印紙税を納めなかったとき|国税庁 新しいタブで開く
収入印紙の消印漏れには印紙税額と同額の過怠税がかかる
収入印紙を貼っただけでは、印紙税の納付手続きが完了したとはいえません。収入印紙の再利用を防ぐため、文書と印紙の両方にかかるように消印する必要があります。
消印には、契約書の署名・押印に使用した印鑑と同じものを使う必要はありません。文書の作成者やその代理人、使用人、従業者の印章または自筆の署名を使用できます。氏名、名称、役職名などを表示したゴム印も使用可能です。
一方、斜線を引くだけの処理や、単に「印」と記載する方法、鉛筆など容易に消せる筆記具による署名は消印になりません。
貼り過ぎ・貼り間違いは税務署で還付、未使用分は郵便局で交換できる
必要額を超える収入印紙を貼った場合や、非課税文書へ誤って貼った場合は、印紙税の還付を受けられる可能性があります。還付を受けるには、次の書類などを納税地の所轄税務署へ提出します。
印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書
収入印紙を貼った文書の原本
還付請求権は原則として5年で消滅します。誤りに気づいたら、文書から収入印紙を剥がしたり切り取ったりせず、そのまま税務署へ相談しましょう。
未使用で汚損していない収入印紙は、郵便局で別の額面へ交換できます。交換手数料は原則として1枚につき5円です。10円未満の収入印紙は額面の半額となり、現金への交換はできません。
参考:No.7130 誤って納付した印紙税の還付|国税庁 新しいタブで開く
工事請負契約書の印紙税を適法に抑える3つの方法
工事請負契約書の印紙税を適法に抑えるには、契約金額の記載方法や軽減措置、契約の締結方法を見直しましょう。
1. 消費税額を区分記載して税抜金額で判定する
第2号文書では、消費税額が明確に区分記載されている場合、原則として税抜金額を記載金額として印紙税額を判定できます。
たとえば「工事請負金額550万円(うち消費税額50万円)」と記載したとします。この場合、印紙税の記載金額は500万円です。軽減措置の対象となる建設工事請負契約書であれば、印紙税額は1,000円となります。
一方、「工事請負金額550万円(税込)」とのみ記載し、消費税額が明らかでない場合は、550万円を基準に判定します。この場合の軽減税率は5,000円です。
消費税額を区分記載することで、契約金額の区分が変わり、印紙税額を抑えられる場合があります。ただし、この取扱いは消費税の免税事業者には原則として適用されないため注意しましょう。
参考:消費税額等が区分記載された契約書|国税庁 新しいタブで開く
2. 軽減税率の適用対象か確認する
建設工事請負契約書を作成する場合は、本則税率で収入印紙を貼る前に、軽減措置の対象か確認しましょう。確認する主な項目は、次のとおりです。
2027年3月31日までに作成する契約書か
建設業法上の建設工事を対象としているか
契約書の記載金額が100万円を超えているか
設計や保守、機械修理だけの契約ではないか
変更契約書の場合、建設工事に関する変更を証明する内容か
本来の税額を超える収入印紙を貼っても、自動的に差額が返金されるわけではありません。契約書へ貼る前に、対象条件と適用税率を確認することが重要です。
3. 工事請負契約書を電子契約に切り替える
工事請負契約書を電子データのみで作成・締結すれば、原則として収入印紙は不要です。電子契約へ移行すると、印紙代のほか、次のような費用や作業も削減できる可能性があります。
収入印紙の購入と在庫管理
契約書の印刷や製本
収入印紙の貼付と消印
契約書の郵送と返送
紙の原本のファイリング
契約書を保管する書庫の維持
過去の契約書を探す作業
契約件数が多い建設事業者ほど、印紙代と管理工数の両面で効果を把握しやすいでしょう。ただし、建設業法の規定や取引先の承諾、社内規程、保存方法などを確認したうえで導入することが大切です。
工事請負契約書の印紙に関するよくある質問
ここでは、工事請負契約書の印紙税に関してよくある質問に回答します。
Q1. 電子契約は建設業法上問題ありませんか?
建設業法では、一定の条件を満たせば、工事請負契約書を電子的に交付することが認められています。
電子契約を利用する際は、原則として相手方の承諾を得たうえで、国土交通省令が定める技術的基準に適合する方法を使用します。電子データを出力して書面を作成できることに加え、改変の有無と契約の相手方が本人であることを確認できる措置などが求められます。
電子契約サービスを選ぶ際は、署名者の本人確認、改ざん防止、監査証跡、データ保存などの機能を確認しましょう。個別案件については専門家や所管行政庁にご相談ください。
関連記事:ドキュサインを利用した建設業の注文書・請書の電子化に関する国交省の回答
Q2. リフォームや小規模工事の契約書にも印紙は必要ですか?
リフォームや小規模工事であっても、紙の工事請負契約書を作成し、記載金額が1万円以上であれば、原則として収入印紙が必要です。工事の規模や事業者の売上高ではなく、契約内容と契約書の記載金額から判断します。
記載金額が1万円未満なら非課税です。建設工事に該当し、記載金額が100万円を超える場合は、軽減措置を受けられる可能性があります。
電子契約で締結し、紙の課税文書を作成しない場合は、工事の規模にかかわらず原則として収入印紙は不要です。
Q3. 電子契約した契約書を印刷して保管する場合、印紙は必要ですか?
電子契約として締結した契約書を、社内での閲覧や保管のために印刷しただけであれば、通常は単なる写しとして扱われます。その場合、原則として収入印紙は必要ありません。
一方、印刷した契約書へ改めて署名・押印し、契約の成立や内容を証明する紙の原本として相手方へ交付した場合は、課税文書に該当する可能性があります。
「印刷したか」だけではなく、その紙を契約原本として作成・交付したかどうかが判断のポイントです。
Q4. 軽減措置の期限(2027年3月31日)を過ぎたら印紙税はどうなりますか?
現行制度では、軽減措置の適用期限は2027年3月31日です。延長や新たな措置がなければ、2027年4月1日以降に作成する建設工事請負契約書には本則税率が適用されます。
たとえば、記載金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合、軽減税率は1万円ですが、本則税率は2万円です。
軽減措置は過去にも期限が延長されています。契約書を作成する時点で、国税庁の最新情報や税制改正の内容を確認してください。
Q5. 基本契約書と個別の注文書・請書では、どちらに印紙が必要ですか?
基本契約書と注文書・注文請書は、それぞれの記載内容から個別に課税関係を判断します。
継続的な工事取引の基本条件を定める基本契約書は、一定の要件を満たすと第7号文書に該当し、1通につき4,000円の印紙税がかかります。
注文書は、単なる契約の申込みであれば、通常は課税文書に該当しません。一方、注文請書は注文を承諾し、工事請負契約の成立を証明する文書であるため、第2号文書に該当する可能性があります。
基本契約に「注文書の交付によって個別契約が成立する」と定められている場合は、注文書自体が契約成立を証明する文書となることもあります。
そのため、基本契約書に印紙を貼れば、個別の注文請書がすべて非課税になるわけではありません。基本契約書、注文書、注文請書の役割と記載内容をそれぞれ確認しましょう。
建設業の印紙税コストごと見直すなら電子契約(Docusign)
紙の工事請負契約書では、契約のたびに課税区分や記載金額、軽減措置の適用可否を判断する必要があります。収入印紙の購入、在庫管理、貼付、消印、郵送、原本保管にも手間がかかります。
工事請負契約書を電子化すれば、印紙代だけでなく、契約締結に伴う一連の業務負担を削減できる可能性があります。契約の進捗を把握しやすくなり、支店や工事現場をまたぐ契約管理の効率化も期待できます。
建設業では、工事番号や取引先、契約金額などを基幹システムで管理している企業も多いでしょう。基幹システムと電子契約を連携すれば、登録済みの情報を契約書へ反映し、署名依頼から締結までの流れを効率化できます。締結状況や署名済み文書を基幹システム側で確認できるように設計すれば、データの二重入力や転記ミスも抑えられます。
Docusign eSignatureでは、工事請負契約書をオンラインで送信・署名できます。署名プロセスの活動履歴が監査証跡に記録され、署名済み文書には完了証明書が添付されます。また、Salesforce、SAP、Microsoftなどの業務システム向け連携やAPIが提供されています。利用できる連携方法や実装内容は、契約プランと現在のシステム環境によって異なります。
工事請負契約書から段階的に電子化したい場合は、自社の契約件数、承認フロー、取引先の対応状況、既存システムとの連携条件を整理したうえで、Docusignの営業担当にご相談ください。電子化による印紙税の取り扱いを含む個別案件については、税務署や税理士などの専門家にご相談ください。
参考:Docusign連携|Salesforce・Microsoft等と接続
関連記事:契約書の収入印紙はいくら?種類別の金額一覧と不要になるケースを解説

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