
Docusignの営業チームが自社のIAMで契約業務を効率化した方法——契約締結60%短縮の舞台裏
Docusignの営業チームは、自社のインテリジェント契約管理プラットフォーム(IAM)を使い、契約書の検索や条件の抽出にかかる時間を大幅に削減しました。契約締結までの時間は60%短縮、営業チームの生産性は約50%向上し、年間約42,000時間を創出しています。本記事では、Docusign社内での導入プロセスと得られた成果を紹介します。

Docusignも「契約書探し」に苦労していた
顧客が手続きで感じる煩雑さは、多くの場合、組織内の業務プロセスに起因しています。Docusign自身も例外ではありません。
事業の拡大に伴い、適切な意図で設計されたプロセスであっても、以下のような問題が生じるようになりました。
契約書を探すためにフォルダーを何層もたどる
重要な契約条件(SLA、料金、解除条項など)を手作業で抽出する
部門間の引き継ぎが手動で行われ、進捗が見えなくなる
システムが分断されていて、データが連携されない
こうした課題を解決するために、Docusignの営業チームは自社のインテリジェント契約管理プラットフォーム(IAM)を活用することにしました。Docusign社内でのIAM活用の全体像は、営業部門だけでなく、法務部門やカスタマーエクスペリエンス部門にも広がっています。
基盤:Docusign CLMとSalesforceの連携
Docusignの社内営業基盤の中核は、IAMプラットフォームの一部であるDocusign CLM(契約ライフサイクル管理)とSalesforceの連携です。
基本契約書(MSA)、注文書、秘密保持契約書(NDA)など、あらゆる契約書はDocusign CLMで作成・管理されています。Salesforceとの連携により、営業担当者はSalesforceの画面から離れずに、契約の作成から進捗確認までを完結できます。
課題:契約更新のたびに発生する手作業
強力なシステムを導入していても、非効率はゼロにはなりません。特に契約更新の場面では、営業担当者がSLA、料金、解除条項などの重要条件を契約書から手作業で抽出する必要がありました。
Docusignには180万を超える顧客がいるため、この作業は繰り返し発生し、相当の時間を消費していました。
Docusignの製品マネージャーであるRaisa Yang氏は次のように振り返ります。
「以前は、営業担当者がフォルダーの奥に埋もれた契約書から必要な情報を抽出するのに、1件あたり30分ほどかかっていました」
本来、この時間は顧客への提案準備や関係構築に使うべきです。しかし実際には、契約書を探し、情報をつなぎ合わせる作業に費やされていました。
解決策:Docusign Agreement ManagerとAIエンジンIrisの導入
この非効率を解消するために、営業チームはDocusign Agreement Managerを導入しました。Agreement Managerには、契約分野に特化したAIエンジン「Docusign Iris」が搭載されています。
Irisが変えた3つのこと
1. 数千件の契約書をAIで一括分析
Yang氏の説明によると、「昨年、数千件に及ぶ営業契約書をAgreement Managerに取り込み、AIでそれらを分析して重要な情報を抽出しました。現在、その仕組みを営業チーム全体に展開しています」とのことです。複数のシステムを切り替えたり、契約書を1件ずつ開いたりする必要はなくなりました。
2. 契約ポートフォリオ全体の可視化
Irisはデータを抽出するだけでなく、契約ポートフォリオ全体を一覧できる状態にします。営業担当者は、アップセルの機会や解約リスクを把握しやすくなり、契約更新の準備や義務事項の管理を効率的に進められるようになりました。
3. 契約情報への即時アクセスとAI検索
締結済みの契約書はAgreement Managerに自動保存され、検索や分析がすぐにできる状態になります。「この顧客の解約通知期間は?」「最新のSLA条件は?」といった質問をするだけで、AIが回答を返します。
導入効果:数字で見る改善
指標 | 改善内容 |
営業チームの生産性 | 約50%向上。年間約42,000時間を創出 |
契約締結までの時間 | 60%短縮 |
契約1件あたりの作業時間 | 営業チームと法務チーム合計で約70分を削減 |
Docusignの営業担当者であるWill Petry氏は、現場の変化を次のように語っています。
「以前は、過去の注文書を探すために複数のタブを行き来し、手作業で計算する必要があり、20分ほどかかることもありました。関連する契約書を1つの画面で確認できるようになったことで、その分の時間を顧客への対応に充てられるようになりました」
こうした改善は営業部門にとどまりません。営業企画・推進部門(RevOps)や財務部門は売上計上を迅速化でき、オペレーション部門は人員を増やすことなく業務を拡大できるようになります。
今後の展開
Docusign社内では、IAMの活用範囲がさらに広がっています。
デジタルセールスチームでは、AIエージェントと本人確認機能(Docusign Identify)を導入し、前払いに関するワークフローの効率化と顧客オンボーディングの迅速化を進めています。本人確認のステップを契約フローに組み込むことで、顧客に余計な手間をかけずに信頼性を高められます。AIによる契約条件の要約機能は、顧客が契約内容を理解する助けにもなります。
今後、AI機能の活用は、見込み客へのアプローチから契約更新まで、営業活動の全工程へと拡大していく予定です。
あらゆる企業の営業部門への示唆
Docusignの事例は、自社製品を自社で使った「Docusign on Docusign」の記録ですが、以下の課題は多くの営業組織に共通しています。
契約更新の準備に、契約書の検索と条件の確認だけで何十分もかかる
営業担当者ごとに契約書の保管場所や管理方法がバラバラ
Salesforceと契約管理が分断されていて、データを手作業で橋渡ししている
法務チームへの確認が商談のボトルネックになっている
こうした課題に心当たりがある場合、契約管理の一元化とAI活用が改善の糸口になる可能性があります。
次のステップ
Docusignのインテリジェント契約管理プラットフォーム(IAM)が営業部門にもたらす効果について詳しくは、IAM for Salesをご覧ください。

Docusign IAMは、ビジネスに欠かせない契約プラットフォームです



