
Docusignの法務チームが営業契約の締結を加速させた方法——MSA交渉の95%を5日以内に完了

営業契約の「ボトルネック」になっていた法務部門
営業契約書の作成・交渉・管理がすべて法務部門に集中すると、何が起きるか。弁護士の負荷が増大し、契約書の作成待ちが発生し、営業活動が停滞します。法務チームが「ボトルネック」と見なされる構造が生まれてしまいます。
Docusignでも、この課題は例外ではありませんでした。法務オペレーション部門のシニアマネージャーであるSandy MacDonnellは次のように語っています。
「私たちがDocusignの製品を使っているのは、事業を運営するために必要だからです。そのためには、最良のエンタープライズ向けソフトウェアが必要です。Docusign CLMとeSignatureは、私たちのビジネスニーズに最も適した製品です」
MacDonnellと法務チームは、Docusignの製品で見積から入金までのプロセスを加速させた5つの取り組みを紹介しています。
取り組み1:営業担当者が自分で契約書を作成できる仕組みを構築
課題
契約書の作成を法務チームに依頼するたびに、営業担当者は法務の対応を待つ必要がありました。法務の対応スケジュールに左右され、営業のスピードが制約されていました。
解決策
Docusign CLMをSalesforceと連携させ、営業担当者がSalesforceの画面上で、事前承認済みのテンプレートから契約書を作成・送付できる仕組みを構築しました。
具体的には、以下の流れで契約書が完成します。
営業担当者がSalesforce上でDocusign CLMを開く
秘密保持契約書(NDA)、基本契約書(MSA)、業務委託仕様書(SOW)などのテンプレートを選択
Salesforceの顧客データが自動入力され、条件や条項の選択肢を画面上で選ぶ
Docusign eSignatureで承認ルートに自動回付し、電子署名を依頼
Docusignの法務担当であるKatherine Groutは、導入のポイントを次のように説明しています。
「新しい手順を覚えてもらうのは、どんな導入でも大変です。すべてをSalesforceの中で完結できるようにしたことが、定着の鍵になりました」
取り組み2:営業担当者が自分で契約交渉を進められる仕組みを構築
課題
顧客が契約条件の変更を求めた場合、従来は交渉のすべてを法務に引き渡す必要がありました。営業担当者は法律用語に不慣れで、条件変更に自信を持てなかったためです。
解決策
Docusign CLM上で、法務が事前に設定した選択肢と変更ルールの範囲内であれば、営業担当者自身が条件を修正し、更新した契約書を送付できるようにしました。
営業担当者がCLMの画面上で修正できるのは、法務があらかじめ「許容範囲」として設定した条項のみです。範囲を超える変更が必要な場合は、自動的に法務へエスカレーションされます。
成果
基本契約書(MSA)の交渉の95%が5日以内に完了(社内レビューと顧客レビューを含む)
交渉の過程で、営業担当者が顧客のビジネス上の課題を直接把握できるようになった。交渉で議論される内容の多くは法律問題ではなくビジネス上の論点であり、営業が直接対応する方が適切なケースが多い
取り組み3:法務チームの関与を「例外対応」に限定
課題
すべての契約書を法務がレビューする体制では、弁護士が戦略的な業務に時間を割けませんでした。
解決策
Docusign CLMの例外ワークフロー機能を使い、法務チームの関与が必要になるのは、契約金額や条件が一定の基準を超えた場合のみとするルールを設定しました。基準以下の案件は、営業担当者が事前承認済みのテンプレートと条件の範囲内で自律的に処理できます。
Docusignの契約管理ディレクターであるPeter Raeは次のように述べています。
「承認済みのシステムには監査証跡があるため、契約書がプロセスのどの段階にあるかが常に確認できます。法務が逐一監視しなくても、正しい手順で処理されていることを確認できるのは大きな安心です」
成果
少額案件については、法務がレビューするMSAの件数を20%以上削減
Groutは「以前の職場では法務が担当していた作業の多くを、営業チームが自律的にできるようになっています。テンプレートからのMSA作成や署名依頼は、法務との打ち合わせなしに進められます」と語っている
取り組み4:署名後の契約書管理を自動化
課題
署名済みの契約書を探すのに時間がかかる。ファイル名の付け方が統一されておらず、個人のフォルダーに保存されていたり、退職した担当者のメールに残っていたりする。必要な契約書が見つからないと、義務事項の履行漏れやレポート作成の遅延につながります。
解決策
Docusign CLMのAI機能を使い、契約書の署名が完了した時点で、以下の処理を自動実行する仕組みを構築しました。
契約の相手方、発効日、契約種別などのメタデータをAIが自動付与
統一された命名規則で、会社種別ごとに分類し、CLMの一元管理リポジトリに自動保存
ベンダーから購入した契約書も、同じリポジトリに自動格納
成果
AIを活用したタグ付けとレビューで、レビュー時間を65%短縮
法務や営業が、契約の相手方名・発効日・契約種別などで契約書を検索できるようになり、義務事項の追跡や契約レポートの作成が迅速化
「非標準の責任制限条項を含む契約書」のような条件でのレポート出力も可能に
取り組み5:自社利用から製品改善へのフィードバック
Docusignの法務チームは、自社製品の「社内ユーザー」として、製品チームに定期的にフィードバックを提供しています。実際の業務で使った結果、うまく機能している点と改善が必要な点を具体的に伝え、製品の改善に反映しています。
MacDonnellは次のように振り返っています。
「私たちは製品チームに多くのフィードバックを提供しています。製品をどう使っているか、ビジネスにどう役立っているか、どのような効果があったかを伝えます。同時に、改善してほしい点や、製品にこういう機能があればという要望も率直に伝えています」
成果のまとめ
取り組み | 主な成果 |
営業による契約書の自律作成 | Salesforce上で完結。法務待ちの解消 |
営業による契約交渉 | MSA交渉の95%が5日以内に完了 |
法務の例外対応化 | 法務レビュー件数20%以上削減 |
署名後の自動管理 | AIタグ付けでレビュー時間65%短縮 |
製品改善フィードバック | 社内利用→製品チームへの継続的改善提案 |
JTCの法務・営業連携への示唆
以下の課題に心当たりがある場合、法務と営業の連携プロセスの見直しが効果を生む可能性があります。
契約書の作成・修正のたびに法務へメールで依頼し、返答を待っている
営業担当者が法律用語に不慣れで、条件変更のすべてを法務に依頼している
少額案件でも、すべての契約書を法務がレビューしている
署名済みの契約書の保存場所がバラバラで、過去の契約書を探すのに時間がかかる
契約書のレポート(条件別の件数把握など)を手作業で作成している
次のステップ
Docusignのインテリジェント契約管理プラットフォーム(IAM)が法務部門にもたらす効果について詳しくは、IAM for Legal(法務部門向け)をご覧ください。
Docusign社内での全社的なIAM活用事例は「Docusignが自社の契約業務をIAMでどう変えたか」、営業部門の導入事例は「Docusignの営業チームが自社のIAMで契約業務を効率化した方法」をご覧ください。

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