
Docusign社内の4チームが実践する、契約業務の自動化と顧客体験向上の取り組み
同意書の収集、不正報告の受付、パートナー審査、セキュリティ依頼対応 ― Docusign社内の4チームが、インテリジェント契約管理(IAM)の仕組みを使って日常業務の手間を削減し、顧客体験の質を高めた事例をご紹介します。「契約書」に限らず、繰り返し発生する業務を自動化するヒントとしてお読みください。

Docusign IAMを顧客体験(CX)の文脈で活用すると聞くと、多くの方が思い浮かべるのは、販売契約書、顧客の利用開始手続き、取引に関する業務手続きといった、従来型の業務フローではないでしょうか。
しかしDocusign社内では、IAMをより幅広い業務基盤として活用しています。
マーケティング、セキュリティ、パートナー管理などの部門では、軽量なワークフローを使って繰り返し発生する業務を自動化し、記録を一元化し、手作業による調整を削減しています。一つひとつは比較的小規模な仕組みですが、それらを組み合わせることで、あらゆる組織のさまざまな業務に柔軟に対応できることが分かります。
ITシステム部門 シニアディレクターのJohn Harris氏が語るように、「組織全体でIAMに対する需要は、私たちの予想を上回っています。導入を拡大し、ボトルネックを減らし、効果を早期に実感するために、IT部門が適切な運用ルール、管理体制、活用支援を整備する一方で、業務部門がプログラミング不要の機能を活用して自ら仕組みを作れるよう支援しています」。
ここからは、4つのチームがどのようにIAMを活用し、業務上の手間を解消して顧客体験の向上につなげたかをご紹介します。
登壇者同意書の収集を、年間200時間分ラクにした方法
最初の事例は、顧客向けマーケティングチームです。
課題は多くの企業に共通するものでした。ライブイベントに参加する顧客から、登壇者同意書、ソーシャルメディア利用同意書、マーケティング利用許諾書を迅速に収集する必要があったのです。
以前は、チームメンバーがPDFをDocusignにアップロードし、署名欄を配置して顧客情報を入力したうえで、1件ずつ送信していました。完了後も、記入済みフォームをダウンロードし、共有フォルダに再度アップロードする作業が必要でした。
そのため、過去の同意書を探し出して顧客が何に同意したかを確認することが非常に困難でした。ファイル名が統一されていなかったり、個人用ドライブに保存されていたり、担当者の退職時にファイルが失われることもありました。何時間もの作業が発生するだけでなく、顧客への対応遅延にもつながっていました。
高まる顧客リファレンスのニーズに対応するため、チームはWorkflow Builderを使って効率的なワークフローを構築しました。顧客マーケティング担当ディレクターのDenise Weber氏は次のように述べています。「現在、マーケティングチームやイベントチームは、顧客にリンクを送るだけで済みます。顧客はフォームの内容を確認し、スマートフォンで署名します。署名済みの同意書は、統一された命名規則に従って、一元管理されたGoogleドライブへ自動的に保存されます」
このワークフローは、登壇者同意書、マーケティング利用許諾書、ソーシャルメディア利用同意書、ロゴ使用許諾契約など、さまざまな種類の利用許諾書に対応しています。
その効果は大きなものでした。チームは年間約200時間の作業時間を削減したほか、特定の担当者への依存を減らし、法務部門による契約の可視性とコンプライアンスを向上させ、大規模なイベント運営をよりスムーズに回せるようになりました。
顧客体験も向上しています。メールの添付ファイルを開く手間がなくなり、顧客はシンプルなWebフォームから手続きを行えます。特にイベント会場ではスマートフォンから数タップで完了できるため、体験の質が大きく変わりました。顧客との関係を大切にするチームだからこそ、こうした小さな体験がブランドの印象を左右します。最初のやり取りがスムーズであれば、その後の手続きも自然と前向きに進みます。
貴社でも、同意書・許諾書の収集を手作業で回していませんか? ファイル管理のルールが属人化している場合、同様のアプローチが有効です。
年間8,400件の不正報告対応を自動化し、顧客保護に集中する
次は、不正利用対策チーム(Trust & Safety)の事例です。顧客の信頼とセキュリティはDocusignにとって最優先事項であり、フィッシング、悪用、金融詐欺、なりすましに関する報告を受けた際には、全社を挙げて迅速に対応します。
以前は、すべての報告を外部ベンダーが受け付け、処理していました。複数回にわたる手作業の引き継ぎが発生していたため、案件の進捗が見えにくく、対応にも時間がかかっていました。
現在のIAMワークフローでは、以下の一連の処理を自動化しています。
Docusign Web Formsを通じて不正利用に関する報告を受け付ける
裏側で自動処理が走り、報告内容を検証して適切な処理先へ振り分ける
調査用のJira案件を自動的に作成する
案件を適切な技術チームへ直接振り分ける
受付から対応完了まで、解決状況の進捗を追跡する
報告者にメールで進捗状況を通知し、一連の対応を完結させる
これは、IAMを受付から対応完了までの業務全体をつなぐ自動化基盤として活用した好例です。年間に提出される約8,400件の不正利用報告への対応において、年間約4万6千ドルのコスト削減を実現しました。
不正利用報告の運用を社内に取り込んだことで、機密情報の取り扱いや管理体制をより直接的にコントロールできるようになりました。プライバシーに関する取り組みの強化と、運用リスクの低減にもつながっています。
不正利用対策部門 シニアマネージャーのJanice LeGay氏は次のように語っています。「IAMの導入により、Webフォームから送信された不正利用報告は直接Jiraに連携されるようになりました。チームは案件の状況をより明確に把握でき、より迅速な調査が可能になりました。手作業での引き継ぎに時間を費やすのではなく、顧客保護に集中できるようになったのは大きな変化です」
外部ベンダー経由の受付業務や、手作業による引き継ぎが多い業務プロセスに心当たりはありませんか? 受付→振り分け→進捗管理→報告のサイクルを自動化するだけで、大きな効果が見込めます。
パートナー審査の手間を1件15分短縮。コンプライアンス体制を強化
3つ目は、パートナー管理部門と法務コンプライアンスチームの事例です。当社に代わって業務を行う第三者が、コンプライアンスおよびリスク管理の基準を満たしていることを確認する責任を担っています。以前は、メールやスプレッドシート、手作業によるフォローアップに大きく依存しており、多くの時間を要し、ミスが発生するリスクも高い状態でした。
IAMを活用して、このプロセスを最初から最後まで一貫して自動化された業務フローに変革しました。Salesforce連携機能を活用し、パートナー担当者への連絡、Webフォームでの情報収集、Salesforceへのデータ反映、デューデリジェンス(第三者審査)の開始までを自動化しています。手作業による引き継ぎを排除し、業務のスピードが大幅に向上しました。
その効果はすぐに表れました。パートナー1件あたりの審査時間を約10~15分短縮し、法務コンプライアンスチームとパートナー管理部門の双方が生産性を向上。より一貫性のある、監査時に記録をすぐ提示できるプロセスを構築できました。パートナーに対する審査をより効率的かつ正確に、大規模に実施できるようになり、コンプライアンス体制の強化につながっています。
パートナーやベンダーの審査プロセスに、メールやExcelが多用されていませんか? 「連絡→情報収集→記録更新→審査開始」の流れがそのまま自動化の対象になります。
セキュリティテスト依頼の受付をワンストップ化
最後は、サイバーセキュリティチームの事例です。ペネトレーションテスト(侵入テスト)を通じてアプリケーションのセキュリティを検証したいというお客様の要望に対応しています。すべてのお客様を支援し、サービスの安定稼働を維持するため、ペネトレーションテストには厳格に定められた手順に従う必要があります。依頼内容の受付、スケジュール調整、レビューと承認、セキュリティチームとの調整など、お客様と社内チーム双方の連携が求められるプロセスです。
現在では、これらすべての情報をDocusign IAMで構築したひとつのワークフローで管理しています。依頼受付用のWebフォーム、Atlassian Jiraと連携するためのWorkflow Builderによる自動処理、セキュリティチームへの自動振り分け、そして依頼を受け付ける前に申請者情報を確認するメール検証機能が組み込まれています。
この自動化により、セキュリティ部門の専門性の高い業務において一貫性が向上し、管理作業の負担が軽減されると同時に、お客様にとってもより分かりやすく、スムーズな依頼体験が実現しています。
社外からの依頼受付に始まり、社内の複数チームが順番に対応する業務はありませんか? 「受付→検証→振り分け→対応→報告」の流れをひとつの仕組みにまとめることで、対応漏れと管理負担を同時に減らせます。
これらの事例に共通するパターン
4つの事例はそれぞれ異なる業務領域のものですが、IAMが力を発揮する場面には共通のパターンがあります。
各チームが実現したこと:
繰り返し発生する手作業の排除
記録の一元管理と状況の見える化
業務フローの標準化
運用リスクの軽減
顧客体験と従業員体験の向上
バラバラだったシステムの接続
大がかりなシステム開発をせずに実現するシンプルな自動化
その結果、契約サイクルの短縮、事業が拡大しても対応できる体制づくり、そして業務コストの大幅な削減により、チームはより付加価値の高い業務に集中できるようになっています。
顧客との取引だけでなく、社内プロセスや部門横断のコラボレーションまで支える ― IAMは、組織全体の業務を柔軟につなぐ自動化基盤として機能することを、これらの事例が示しています。
まずは「ひとつの手作業」から始めてみる
こうした自動化は、すべてを一度に導入する必要はありません。まずは自部門で「繰り返し発生している手作業」をひとつ選び、小さな仕組みから始めることで、効果を実感しやすくなります。
「受付→振り分け→対応→記録」のサイクルが手作業で回っている業務があれば、それが最初の一歩の候補です。
顧客体験の改善にご関心をお持ちでしたら、顧客体験向上のためのソリューション詳細をご覧ください。
Docusign IAMは、ビジネスに欠かせない契約プラットフォームです



