主な内容に移動
Blog

金融リーダーに問う!金融DXを阻む壁はどこにあるのか? 「攻め」と「守り」を両立する金融データ基盤 - 実務層が着手すべき契約DXロードマップとは? -

Author Yuki Okatake
Yuki Okatakeコンテンツマーケティングマネージャー|Docusign Blog 編集担当
概要4分で読み終わります

金融業界では昨今、デジタル化の推進が強く求められています。そのカギとなるのが契約業務のデジタル化です。本記事では、契約業務のDXがなぜ最重要課題なのか。その実現に向けた課題をDocusign IAMがどう解決できるのか。有識者の談話を通じて解き明かしていきます。

概念論を超え、実装へ。金融DXを成功に導く「4つのステップ」を公開記事と動画を見る

契約業務のデジタル化こそが金融DX推進のカギ

現在の金融業界において、DXの推進は単なる業務効率化の手段ではありません。むしろ、金融業界の生き残りをかけた経営の重要課題と言ってもよいでしょう。しかし、金融DXを推進していくには、さまざまな障壁が立ち塞がっているのが現状です。例えば、膨大な紙書類などの「過去の遺産との共存」や「DX人材の不足」です。そのほか、AI活用を阻む「非構造化データの残存」はその1つといえます。

特にデジタル化の遅れが目立ち、かつ大きな変革のカギを握っているのが「契約業務」です。契約は「信用リスクの判断」「法的遵守」「事務処理の正確性」など、金融の根幹を支える業務そのものです。その業務には、預金、融資、資産運用、保険販売など、多岐にわたる取引が存在します。これらはフロント部門からミドル、バック部門までが密接に連携する必要があります。このプロセスのデジタル化こそが、金融DXのボトルネックを解消する突破口となります。

金融DXを推進するための契約データ活用のロードマップ

契約業務のデジタル化を推進するためには、どのような流れで進めればよいのでしょうか。順を追って詳しく説明していきます。

▼ステップ1:契約データの棚卸(紙・PDF・分散の解消)

最初のステップは、契約データの“棚卸”です。つまり、どの部門にどのような種類の契約があるのか。また、構造化できていないデータは可視化する必要があります。

例えば、金融機関における主な契約業務には次のようなものがあります。自社の契約データがどのような状態にあるのか把握するようにします。

▼ステップ2:構造化による“AI活用可能なデータ”の生成

次のステップが「契約データの構造化」です。遠藤氏は、「金融DXを進めるうえで前提となるのは、紙の情報をデータ化することです。しかし、単にデータ化して集めるだけでなく、AIが適切に扱えるように整備する必要があります」と強調します。

AIを戦略的に活用するためには、データが構造化されていなければなりません。構造化されていないデータは、紙やPDFなどの非構造化データ、「ダークデータ」化している状態です。この状態では、AI活用のためのボトルネックになってしまいます。すなわち、「データの分母」を整えることが不可欠です。

「また、AI活用に最適な『メタデータ』を付与するといった処理も必要です。こうしたデータ処理ができる金融機関と従来の金融機関とでは、今後大きな差が生まれます」(遠藤氏)

このような課題を解決するため、Docusignはソリューションを強化しています。その1つが、契約データを自動で抽出・構造化し、企業のビジネス資産として活用可能にする「Docusign Navigator」です。このソリューションは、AIが契約書から条項や日付などの重要情報を自動で抽出・構造化します。これまで埋もれていた契約データを“使える資産”へと変革します。

▼ステップ3:金融業界特有のコンプライアンス/監査要件へのアジャイル対応

契約業務のデジタル化には、金融業界特有のコンプライアンス、監査要件に対応する必要があります。前編でも述べたように、近年の契約業務では取引先の確認だけでなく、犯罪収益の移転防止といった厳格なリスク管理が求められています。Docusignは、この重要な要件に対応するための取り組みにも注力しています。

その一例が、日本の金融市場が求める高度な本人確認ニーズに応えるためのLIQUID社との提携です。竹内は「日本の厳格なeKYC/AML規制に対応するため、『Docusign ID VerificationIDV(Liquid eKYC)』をこの度ICチップ読み取り方式に対応できるようバージョンアップしました。身分証明書は、ICチップを内蔵したマイナンバーカードや運転免許証などに対応しています。Docusign ID Verificationは、迅速かつスムーズで馴染みやすい本人確認プロセスを提供します」と説明します。

また、Docusignは、本人確認で高精度なセキュリティを誇る「カ」方式(JPKI)をサポートしています。そのほか、離脱率が低く利用しやすい「ホ」方式(写真撮影)にも対応しています。このように顧客のリスクレベルや取引状況に応じて最適な方式を選択することができます。これらは日本の顧客ニーズにきめ細かく対応しています。

「本人確認完了後、データはコンプライアンスや規制要件を効率的で安全に満たす必要があります。この要件にも、Docusignは完全な監査証跡(ID Evidence)を一元化した基盤で取得・保持しています。高い検索性や管理の厳格性に対する金融業界のニーズを満たすことが可能です」(竹内)

Docusignの本人確認は新時代へ。 ICチップ対応の最新デモや、導入に関するご相談はこちらからお問い合わせください。問い合わせる

▼ステップ4:既存業務システムとの連携でAIを“経営の意思決定”に活用

契約データを資産として活用するためには、データが部門間を一気通貫で流れる仕組みが不可欠です。そのための統合化されたプラットフォームが、Docusign IAMです。Docusign IAMの提供により、契約業務における部門間連携の円滑化を支援しています。

また、Docusignは、長年にわたって企業・組織のインテリジェントな契約管理を支援してきました。この知見と実績が、金融業界におけるAI活用を支援するカギとなっています。

例えば、金融機関においても、SFA、ERP、CRMなど、多彩な業務システムが利用されています。これらの基幹システムとDocusignは柔軟に連携することが可能です。その結果、業務システム上のAIに対して、「すぐに使える契約データ」という高品質の燃料を供給できます。

例えば、データ連携ができる環境において、Docusign IAMは「契約の正解データ(Ground Truth)」を供給します。これにより、ERPやCRM、SFAといった連携先システムのAIが、より企業の状態、企業間の中での関係という領域を正しく理解したうえで機能します。

そして、契約データを経営における「武器」として、未来を予測しリスクを防ぐ「羅針盤」へと進化させます。そのメリットは次に示すように多岐にわたります。

経営の意思決定を支援

精度の高い売上予測

担当者の「勘」に頼らず、契約上の「自動更新の有無」や「解約通知期限」などのデータに基づいた予測を行います

商品・約款の改善

「特定の不利な特約」と「解約率(チャーン)」の相関を可視化し、収益構造改善のための意思決定につなげます

隠れ負債・偶発債務の把握

貸借対照表(B/S)には現れない違約金条件や保証範囲を総量として把握し、資本政策や引当金を調整します

市場・規制変更への迅速な対応

金利指標の変更や新規制の影響を受ける契約群を瞬時に特定し、影響額や対応コストを即断します

組織・業務フローの最適化

部門ごとの稼働時間をデータで特定し、人員配置の最適化やボトルネックの解消を図ります

ガバナンスと監査の強化

「特例承認」が異常に多い箇所をヒートマップで監視し、コンプライアンス違反の予兆に対して監査介入を決定します

現場の意思決定を支援

最適な提案タイミングの把握

契約データにある「更新期日」や「価格改定条項」に基づき、AIが推奨するタイミングでアクションを起こします

迅速な判断支援

融資契約の財務制限条項(コベナンツ)などを即座に確認し、その場で追加融資の提案可否を判断できます

交渉力の向上

過去の契約経緯や値上げ上限などの条件をAIがまとめることで、正しい方向性での交渉が可能になります

対応の優先順位の最適化

システム障害時などに、契約上のSLAが高い顧客をAIが優先順位付けし対応順を決定します

義務の履行とリスク回避

報告義務や監査期限のアラートを受け取ることで、ペナルティが発生する前にタスクを完了できます

竹内は、「Docusign IAMはAI技術を利用し、不利な条項やコンプライアンスリスクを瞬時に検知します。これにより、問題が顕在化する前に対応を可能にします。つまり、“経営の時限爆弾”を根本から解決できるようになるのです」と付け加えます。

デジタル化で加速する金融DXの新たな潮流

近年の金融業界は、デジタルの力を活用することで新たな成長をもたらすビジネスを生み出しています。例えば、「みんなの銀行」や、「UI銀行」といった、店舗を持たないインターネット専業銀行(デジタルバンク)の登場は、その一例といえるでしょう。

遠藤氏は、「金融におけるDXは、特にコンシューマ向けで先行しています。なかでも私が注目しているのが、『組込型金融(Embedded Finance)』とよばれる新しい形態です。その一例が、日本航空と住信SBIネット銀行による「JAL NEOBANK」や、JR東日本と楽天銀行の「JRE BANK」です。これらは非金融企業のサービス内に銀行機能が組み込まれたもので、従来、金融機関と接点の少なかった層を取り込んでいます」と説明します。

異業種とのコラボレーションには、業務自体をデジタル化することが不可欠となります。アナログな業務が残っていた場合、他社プラットフォームと柔軟な連携が行えないからです。

したがって、契約業務についても各契約プロセスがAPIで連携され、瞬時に審査・締結が完了する仕組みが必要となります。そうしたニーズにも、Docusign IAMであれば対応可能です。

契約は“締結して終わり”ではありません。散らばりやすい契約情報をまとめ、必要な時にすぐ取り出せる環境を整える、Docusign IAMとは?詳細を見る

Docusign IAMの活用でいまこそ契約業務のデジタル化を

これまで説明してきたように、契約業務のデジタル化はビジネス成長のカギを握ります。金融機関は「契約データが経営の中核」であることを認識し、部門を横断したプロジェクトも増えていきます。

遠藤氏は、「近年の金融業界は、異業種やFinTech企業の参入による競争激化など、劇的な環境変化に見舞われています。また、顧客の利便性向上や非対面へのニーズ、さらには労働人口の不足に対処するための業務効率化など、多くの課題が立ち塞がっています。これらの課題を解決するためにも、金融業界のDX化は不可避であり経営戦略として捉えることが重要です。そして、単なるデータ化・デジタル化に留まらず、業務自体を根本的に改革し、顧客への付加価値を高める方向へ進むべきです。このようなDXを実践する金融機関が市場で優位性を確立し、生き残っていくでしょう」と話します。

「なお、契約のデジタル化も含めたDX推進では、投資余力に応じた戦略と優先順位付けが必須です。いたずらにすべてをデジタル化したり、ツールに頼ったりするのではなく、自社の戦略に基づいて取捨選択を行うことが重要です」(遠藤氏)

そして、Docusignは、契約業務のデジタル化を支援しています。そのための主軸となるものが、Docusign IAMです。そのラインナップには、契約業務における顧客体験(CX)の向上に特化したサービス「Docusign IAM for CX」、営業チーム向けアプリケーション「Docusign IAM for Sales」といった製品群も用意されています。

そして、グローバルでの金融業界に関する実績と知見を組み合わせ、既存業務システムとの連携によるスマートなAI活用を支援しています。

最後に竹内は「今こそ、契約業務を単なる管理業務から、経営戦略の「中核」へと昇華させる時です。 Docusign IAMとともに、データ駆動型でアジャイルな経営体制を構築し、企業の競争力を高める絶好の機会です」と訴えます。

本記事は遠藤氏と竹内氏のインタビュー対談動画でもご覧いただけます。Docusign IAMの実例、金融業界における契約データの活用法や導入ステップをぜひご覧ください。

Author Yuki Okatake
Yuki Okatakeコンテンツマーケティングマネージャー|Docusign Blog 編集担当

新卒でSalesforceに入社し、コンテンツ/ブランド/イベントマーケティングに従事。顧客事例やブログの編集、フィールドイベントの設計・運営を担当。2025年よりDocusignでContent Marketing Managerとして、日本市場向けコンテンツの戦略立案・編集・制作(ローカライズ含む)を担い、インテリジェント契約管理(IAM)の価値をわかりやすく発信。

この著者の他の投稿

関連記事

Docusign IAMは、ビジネスに欠かせない契約プラットフォームです

無料ではじめるDocusign IAMについて
笑顔でプレゼンを行う人