
Docusign(ドキュサイン)ってなんの会社?
契約が「待ち」と「手戻り」で止まりがちだと感じるなら、まず見直すべきは“署名と合意の流れ”です。みなさんも「この書類をDocusignで署名してください」という依頼を受け取ったことがあるかもしれません。けれども実際に「Docusignって何の会社?」「何ができるの?」と聞かれると、説明に迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、Docusignとは何か、Docusignで何ができるのか、そしてDocusignが世界でどのように使われているのかなど、基本的な内容についてお話しします。

Docusignって何をするもの?
Docusign(ドキュサイン)は、契約書類の署名や送信、管理をすべてオンラインで完結できるクラウドサービスです。 紙とハンコを前提とした従来の契約手続きは、印刷・押印・郵送・返送・ファイリングといった工程が多く、非効率で時間もコストもかかっていました。Docusignを導入することで、契約書をいつでも・どこでも・どのデバイスからでも安全に署名・送信・管理できるようになります。
Docusignは2003年創業の電子署名テクノロジーのパイオニア企業であり、20年以上の経験と実績を誇ります。
具体的に言えば、Docusignを使うと紙やハンコを使った契約フローをすべてデジタル化できます。例えば、契約書の作成から相手への送付、相手による署名と返送、自社内での承認・保管まで、一連の流れをオンライン上で完結できます。 電子メールに契約書を添付して送ったり、ウェブ上のリンクから契約書にアクセスして署名するだけで、ビジネス上の合意が成立します。これにより、従来必要だった印刷・捺印・郵送・ファイリングの手間が一切不要になります。
なぜ電子署名が必要とされるのか
契約手続きの電子化が求められる背景には、日本独自の「紙とハンコ」文化の課題があります。
契約書にハンコを押すためだけに出社する
書類を郵送し、相手からの返送を待つ
紛失や記入ミスが発生する
印紙税・郵送費・印刷費用が積み重なる
これらはすべて、企業のスピードや生産性を阻害する要因です。特にコロナ禍以降、リモートワークの普及に伴い「押印のための出社」が現実的でなくなり、電子署名は事業継続のために不可欠な仕組みとなりました。
日本政府も行政手続きでの押印廃止やデジタル庁の創設など、契約の電子化を促進する施策を打ち出しています(いわゆるハンコレス、ペーパーレスの推進)。こうした背景から、紙とハンコに代わる契約手段として電子署名サービスが必要不可欠となってきたのです。
Docusign導入で得られる4つのメリット
Docusignの電子署名ソリューションを導入すると、企業や組織は契約業務で次のようなメリットを得ることができます。
業務効率化・スピード向上: 契約締結までのリードタイムが大幅に短縮されます。紙のやり取りでは、印刷・押印・郵送・返送・ファイリングといったステップで数日~数週間かかっていたものが、Docusignなら最短数分で完了します。例えば、社内稟議から契約書送付・署名・回収までワンクリックでシームレスに行えるため、契約締結までの時間を劇的に短縮でき、ビジネスのスピードを加速できます。
コスト削減: 紙、インク、郵送費、印紙税、保管庫スペースなど、従来の紙契約に伴うコストを削減できます。電子署名によってペーパーレスを実現すれば、印刷や郵送にかかる費用が不要になるだけでなく、書類管理の手間も減らせます。また、契約書の紛失や再発行にかかるコストも避けられます。
セキュリティ強化: Docusignでは契約書データが電子的に暗号化され、安全に保管・送信されます。紙の契約書のように第三者に内容を盗み見られたり、物理的に持ち出されて情報漏洩するリスクを低減できます。アクセス権限の管理や操作履歴(監査証跡)が残るため、「誰がいつ署名したか」「書類に改ざんがないか」を明確に証明でき、内部統制の強化にもつながります。実際、Docusignはその高いセキュリティ水準から金融機関でも利用されており、銀行業界と同等レベルの安全性が確保されています。
顧客満足度向上: 電子契約は場所や時間を問わず対応できるため、契約のために対面や郵送を待つ必要がありません。お客様や取引先もオンライン上で迅速に契約を交わせるため、ビジネス相手の満足度向上にもつながります。「印鑑がないので後日改めて…」といった理由で商談が中断することもなくなり、スムーズな契約体験を提供できます。
このように、Docusignは契約手続きのDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現し、時間とコストの無駄を省きつつ、セキュリティと信頼性を高めてくれるのです。紙ベースの煩雑なフローから解放されることで、営業担当者や契約管理者は本来の業務(顧客対応や戦略立案など)により多くの時間を充てられるようになります。
Docusignの活用例(契約業務はどう変わる?)
Docusignは業種・部門を問わず、あらゆる「署名が必要な場面」で活用されています。以下は代表的な活用例です。
営業部門(Sales): 見積書や契約書の取り交わしをオンライン化できます。従来、商談成立後に契約書を郵送し押印をもらっていたのを、Docusignならメール送信と電子署名で完結。契約手続きが迅速になり、商談成立までのリードタイムを短縮できます。営業担当者は契約処理に追われる時間が減り、より多くの時間を顧客とのコミュニケーションや新規案件開拓に充てることができます。
人事・労務部門(HR): 採用時の雇用契約書、入社時の各種同意書、機密保持契約(NDA)、在宅勤務同意書など、人事関連の書類にもDocusignが使えます。従業員は自宅からでもスマホやPCで書類にサインでき、人事担当者も紙の書類を郵送・回収する負担がなくなります。リモート入社手続きやグローバル人材との契約にもスムーズに対応できるため、候補者・従業員の利便性と満足度が向上します。
調達・経理部門(Procurement/Finance): 発注書や請求書、取引基本契約書など社外との取り交わし文書を電子化できます。Docusignは他のワークフローシステムやERPと連携して使うことも可能で、社内承認ワークフローから契約締結、保管まで一気通貫でデジタル化できます。これにより、社内の承認者・契約担当者・取引先の間でリアルタイムに契約処理が進み、ミスや抜け漏れを防ぎつつプロセスをスピードアップできます。
法務部門(Legal): 契約書レビューから締結までの過程を効率化します。複数当事者間での契約書修正作業も、Docusign上でバージョン管理しながら行えます。最終版への署名もオンラインで完了するため、契約締結のタイミングを見逃すことがありません。監査証跡が残ることでコンプライアンス面も強化され、将来の紛争時にも「電子署名付き契約書」が証拠として活用できます。
その他の業界例: 不動産業界では売買契約や賃貸契約の締結にDocusignが活用されています。米国ではまず不動産分野でDocusignの導入が広がり、煩雑で時間のかかる不動産取引の効率化に大きく貢献しました。この成功により評判が高まり、金融機関(銀行や証券会社など)でも採用が進み、今では保険業、医療機関、製造業、官公庁など様々な業界でDocusignが使われるようになっています。例えば米国の大手銀行では、融資契約や口座開設書類の署名にDocusignを導入し、手続き時間を大幅短縮しています。また、日本国内でも不動産の売買契約で電子署名を導入する事例が増えてきました。
このようにDocusignは、企業規模や業種を問わず「紙とペンで署名していた業務」を変革できるプラットフォームなのです。社内稟議から社外取引まで、契約・合意にまつわるあらゆる場面で活用することで、業務プロセス全体の生産性向上とデジタル化に貢献します。
Docusignは世界でどう使われている?
Docusignは世界中で広く使われているグローバルスタンダードな電子署名サービスです。その実績を示すいくつかの数字をご紹介しましょう。
利用企業数・ユーザー数: 現在、Docusignのソリューションは世界180カ国以上で170万社以上のお客様に利用されており、累計ユーザー数も10億人超にのぼります。まさに世界中の企業・個人から厚い信頼を寄せられているサービスと言えます。この「170万社/10億人」という規模感は、電子署名分野におけるDocusignの圧倒的なシェアと認知度を物語っています。
業界リーダーとしての地位: Docusignは電子署名市場のリーディングカンパニーであり、世界No.1の電子署名サービスです。例えば、米国のフォーチュン500企業(米国上位500社)のうち、大多数の企業がDocusignを採用しています。具体的には、フォーチュン500に名を連ねるテクノロジー企業トップ15社中13社、ヘルスケア企業トップ15社中14社、金融機関トップ15社中15社がDocusignを利用しているというデータがあります。このことからも、世界のトップ企業の標準ツールとしてDocusignが選ばれていることが分かります。
公共機関での採用: Docusignは民間企業だけでなく官公庁でも広く採用されています。特に電子署名発祥の地であるアメリカでは、連邦政府・州政府・地方自治体を含む3,000以上の政府機関でDocusignが利用されています。政府機関向けクラウドの厳格なセキュリティ基準(FedRAMP認証)も取得しており、公的機関で安心して使えるサービスとして認められています。

このようにDocusignはグローバルで事実上の標準とも言える電子署名プラットフォームとなっています。アメリカをはじめ海外では「契約書にサインする=Docusignする」というほど一般的な存在であり、企業間取引から個人の賃貸契約まで幅広く利用されています。 日本においても、2015年にDocusign日本法人が設立されて以来徐々にシェアを伸ばし、特に2020年以降のデジタル化の波に乗って導入企業が急増しています。当初、日本市場では紙とハンコ文化が根強く電子契約の普及に課題がありましたが、昨今では国内サービスと並んでDocusignもグローバル標準ソリューションとして注目を集める存在となっています。海外取引の多い企業や、将来的なグローバル展開を視野に入れる企業にとって、Docusignは避けて通れないツールと言えるでしょう。
なお、Docusignは日本市場向けにもサービスをローカライズして展開しています。インターフェースの日本語対応はもちろん、日本の商習慣に合わせた機能強化も行ってきました。その一例が「電子印鑑(eHanko)」機能です。2017年、Docusignはシヤチハタ株式会社と提携し、日本の企業文化になじみ深い印影(社判)を電子的に押せるeHanko機能をリリースしました。 この機能により、日本のエンタープライズ企業にも受け入れられる契約フローを実現し、国内導入が加速する大きなブレークスルーとなりました。こうしたローカル対応への取り組みからも、日本のお客様に寄り添ったサービス展開をしていることがお分かりいただけるでしょう。
Docusignは安全?法的に大丈夫?
電子契約サービスを導入する際に気になるのが、「本当に法的効力は問題ないのか?」「セキュリティ面は大丈夫か?」という点でしょう。Docusignはその点についても万全の体制を整えています。
法的効力: 日本において電子署名の法的効力は2000年施行の電子署名法によって認められており、適切な電子署名には押印と同等の法的効力があります。Docusignはこの法律の要件を満たすよう設計されており、契約当事者の同意を明確に記録する仕組み(署名プロセスの記録やタイムスタンプなど)を備えています。また、Docusignで署名した電子文書には改ざん防止のためのハッシュ値や証明書が付与されるため、後から内容が変更されていないことを証明できます。実際に、日本国内でもDocusignで締結した契約書が有効に認められ、多くの企業で法務承認を経て利用されています。さらに、日本政府の推奨するガイドライン(電子帳簿保存法や電子契約サービスガイドライン等)にも準拠しており、安心してご利用いただけます。
セキュリティと信頼性: 前述の通り、Docusignは高度な暗号化技術によって契約データを保護しています。送信中・保管中のデータはいずれも暗号化され、関係者以外には内容が見えません。クラウド上の契約書データは堅牢なデータセンターに保管され、多重のセキュリティ対策(ファイアウォール、侵入検知システム等)が施されています。また、Docusignはサービスの稼働率(アップタイム)も非常に高く、ビジネスで重要な契約プロセスを預かるインフラとして信頼できます。万一サービス側に障害が発生した場合でも、電子契約書の完全性は保たれるようバックアップや冗長化が図られています。
さらに、Docusignはグローバルで各種セキュリティ認証を取得しています。ISO 27001(情報セキュリティマネジメント)やSOC2などの国際標準のほか、米国政府向けのFedRAMP認証(中レベル)もクリアしています。これらはDocusignのセキュリティ体制・内部統制が第三者機関によって客観的に評価・確認されていることを示します。金融機関や官公庁での多数の導入実績があること自体、セキュリティとコンプライアンスに信頼がおける証拠と言えるでしょう。
要約すれば、Docusignで締結した契約書は法的に有効であり、Docusignのクラウドは安全性・信頼性が非常に高いということです。紙の契約書よりもむしろ紛失や改ざんのリスクが低く、安心してビジネスに利用できます。
電子署名だけじゃない:IAMプラットフォームへの進化
Docusignは電子署名サービスとして広く知られていますが、近年その提供範囲を大きく広げつつあります。ただ契約書に署名をもらうだけでなく、契約に関わる事前準備から締結後の管理・活用までを一貫して支援するプラットフォームへと進化しているのです。

この全体像を示すのが IAMプラットフォーム(Intelligent Agreement Management Platform)です。IAMプラットフォームとは、契約ライフサイクル全体を支えるためのDocusignの包括的なカテゴリであり、電子署名(eSignature)、契約ライフサイクル管理(CLM)、そしてAIを活用したIAMソリューション群(例:IAM for CX、IAM for Salesなど)を含みます。
たとえば、CLM(Contract Lifecycle Management) を使えば、契約書のドラフト作成・レビュー・版管理・社内承認といったプロセスをテンプレート化や自動ワークフローで効率化できます。従来は担当者ごとにメールや紙でやり取りしていた承認作業も、Docusign上でシームレスに完結させることができます。
一方で、IAMソリューション は契約データにAIや分析機能を組み合わせることで、契約業務の意思決定をより高度に支援します。たとえば、契約リスクの自動検知、更新期限のアラート、契約データを活用したインサイトレポートの生成などです。これにより、単に契約を「締結する」だけでなく、「契約から価値を引き出す」ことが可能になります。

つまり、IAMプラットフォームは「電子署名」だけではなく、契約の準備 → 締結 → 管理・分析までをすべてデジタルで支える包括的な枠組みです。Docusignはその中で、eSignature、CLM、IAMソリューションを提供し、契約業務全体の変革を推進しています。
合意の“先”にある、森と社会へのコミットメント
Docusignは、合意を速く・安全に進めるだけの会社ではありません。私たちは事業そのものを通じて、森林と地球環境、そして地域社会に貢献することを重視しています。電子署名・契約管理の普及により、2003年以降930億枚以上の紙資源を削減し、1,000万本以上の木を守ってきました。さらに、紙の製造・流通に伴う370億リットル以上の水資源の節約、24万7千トン以上の廃棄物の削減、350万トン以上のCO₂排出削減にもつながっています(いずれも2024年1月時点の推計)。
私たちは紙の削減にとどまらず、Docusign for Forests を通じて、ジェーン・グドール財団やThe Nature Conservancy、Rainforest Trustなどの団体へ累計300万ドル超を拠出し、森林保全プロジェクトを継続的に支援しています。従業員のボランティア活動(Docusign Impact)も推進し、各地域の環境団体で何千時間規模の活動が行われてきました。
気候変動への対応では、Science Based Targets initiative(SBTi)の1.5°C目標にコミット。スコープ1・2の排出を2021年→2030年で半減し、遅くとも2050年までにネットゼロを達成する計画です。事業オペレーションにおける排出の最小化と、製品を通じた紙由来排出の回避という“二重のインパクト”で、持続可能性を前に進めます。
合意をデジタルに変えることは、ビジネスのスピードだけでなく、未来世代のための資源を守る選択でもあります。Docusignは、テクノロジーとパートナーシップ、そして社員一人ひとりの行動を重ね、合意の革新×地球の保全をこれからも両輪で進めていきます。
まとめ :Docusignが実現する契約DX
ここまでお読みいただき、Docusignという会社が何を提供し、どのような価値をもたらすのかイメージしていただけたでしょうか。Docusignは世界No.1の電子署名サービスとして、紙とハンコに代わる契約手続きのデジタル化ソリューションを提供し、多くの企業のビジネスプロセス変革に寄与しています。 単なる電子署名に留まらず、契約業務全体を効率化・最適化するプラットフォームへと進化し続けており、その信頼性と実績からグローバルで標準的な存在となっています。もし「Docusignって具体的に何ができるの?」と聞かれたら、「紙の契約書をオンラインで安全にやり取り・署名できるサービスで、契約手続きを劇的に効率化してくれるものだ」と自信を持って答えてください。 そして、自社の契約業務で課題を感じているようでしたら、ぜひDocusignの活用をご検討ください。きっとその便利さとスピードに驚くはずです。

新卒でSalesforceに入社し、コンテンツ/ブランド/イベントマーケティングに従事。顧客事例やブログの編集、フィールドイベントの設計・運営を担当。2025年よりDocusignでContent Marketing Managerとして、日本市場向けコンテンツの戦略立案・編集・制作(ローカライズ含む)を担い、インテリジェント契約管理(IAM)の価値をわかりやすく発信。
Docusign IAMは、ビジネスに欠かせない契約プラットフォームです


