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VUCAとは?不確実性の時代に必要なスキルとデジタル活用

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世界は今、「VUCA」と呼ばれる時代を迎えています。VUCA(読み方:ブーカ)とは、一般に「変化が激しく予測不可能で、複雑、曖昧な状況」を表す言葉として使われています。本記事では、VUCAの意味やVUCAを構成する4つの要素、さらにVUCA時代を乗り越えるためのポイントを解説します。

目次

上空から撮影した東京の高層ビル群

世界は今、「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる不確実かつ予測不可能な時代を迎えています。先が見通しにくい状況下で、持続的な競争力を発揮するためにはどのような対策が必要なのでしょうか。

本記事では、「VUCAの意味」と「VUCAを構成する4つの要素」について解説し、それぞれの要素が具体的にどのような影響をもたらすのかを探っていきます。さらに、VUCA時代に押さえておくべき2つのキーワード、「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」と「OODAループ」についても紹介します。

VUCA(ブーカ)とは?

VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったものです。一般に「変化が激しく、予測不可能で、複雑、曖昧な状況」を表す言葉として使われています。

VUCAは1980年代のアメリカで国際情勢を表す軍事用語として生まれたと言われていますが、今ではその他の分野でも使われるようになり、とくに経済分野で多く使われています。例えば、経済産業省の『ものづくり白書(2020年版)』では、第1部第1章第2節「不確実性の高まる世界の現状と競争力強化」の中で、「今日、世界はインターネットで結ばれ、どこかで変化が起こると、瞬時にその変化が広がるVUCA(ブーカ)と呼ばれる不確実な時代である」と、VUCAについて触れられています。

では、VUCAを構成する4つの要素とは具体的にどのようなもので、私たちにどのような影響を与えるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

Volatility(変動性)

時代の移り変わりとともに、さまざまな事象が現れます。こうした事象の変動の中には、それまでの時代の流れとは関係なく、突如現れ、各方面に大きな影響を与えるものもあります。テクノロジーに関して言えば、インターネットやスマートフォン、SNSなどが代表的です。大多数の人にとって全く新しい変化であった場合、個人や社会の価値観、ビジネスの作法など、さまざまなことに大きな影響を及ぼします。

Uncertainty(不確実性)

ある事象が確実でないことを指します。気象や感染症、国の政策、制度など、状況の予測が不確実ものは多くあります。例えば、近年の新型コロナウィルス感染症の流行とその収束については不確実と言えます。そうした不確かな状況のもとで、何に投資し、何を抑えるべきかを予測し、ビジネスを進めることには大きなリスクを伴います。

Complexity(複雑性)

多数の事象が入り組んで、複雑になっている状況を指します。ビジネスで言えば、グローバル化がその複雑性の要因の1つと言えるでしょう。国内でビジネスを進めるのと、海外で進めるのでは、国・地域ごとに制度やルール、慣習、流行などが大きく異なります。グローバルにビジネスを展開するためにはその複雑性を理解する必要があります。

Ambiguity(曖昧性)

曖昧性とは、「意味合いが複数になること」、すなわち「境界が不明瞭なこと」という意味ですが、ビジネスでは、これまで成功論に基づいてうまくいっていたものが失敗したり、常識と思われていたことが今では変わってしまったり、因果性が曖昧になっていることを意味します。「これまでこのやり方で成功していたのだから」と前例を踏襲しているだけでは、持続的な成功は望めないことを示しています。

VUCA時代のキーワード「ダイナミック・ケイパビリティ」と「OODAループ」

それでは、VUCA時代を乗り越えていくためには、何が必要なのでしょうか。変化が激しく、予測不可能で、複雑、曖昧な状況ですから、企業に求められるのは、素早く変化に対応する能力「ビジネスアジリティです。

以下、ビジネスアジリティを鍛え、VUCA時代を乗り超えていく上で重要な2つのキーワード、「ダイナミック・ケイパビリティ」と「OODAループ」について紹介します。

ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)

ダイナミック・ケイパビリティとは、不確実で予測不可能に変化する中で、その変化に対応して自らを変革する能力のことで、カリフォルニア大学バークレー校のデイヴィッド・J・ティース氏が提唱した戦略経営論です。

ティース氏の戦略経営論では、企業の活動能力を「オーディナリー・ケイパビリティ(通常能力)」と「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)」の2つに分けています。その中で、与えられた経営資源をより効率的に利用して利益を最大化しようとする能力であるオーディナリー・ケイパビリティだけでは、競争力を維持できないと指摘しており、環境や状況の変化に応じて企業内外の資源を再構成して自己を変革するダイナミック・ケイパビリティを高めることが必要だとしています。

環境に即応して、組織を柔軟に変化させるためには、脅威や危機を感知する能力「感知(センシング)」、機会を捉えて既存の資産・知識・技術を再構成して競争力を獲得する能力「捕捉(シージング)」、競争力を持続的なものにするために組織全体を刷新し変容させる能力「変容(トランスフォーミング)」の3つの能力が必要となります。

これら3つの能力を得て、ダイナミック・ケイパビリティを備えることで、状況に即応して企業を変革し、VUCAの時代を乗り越えてビジネスを成長させることができると言えます。

OODAループ

これまで、「PDCAサイクル」を回すことで製品やサービスを改善し、ビジネスを拡大してきた組織も多いのではないでしょうか。PDCAサイクルは、「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(評価)」→「Action(改善)」、そして再び「Plan」とフェーズを繰り返すことで、製品やサービスの品質、生産効率を向上します。PDCAサイクルの考え方が生まれたのは1950年代と言われており、長くビジネスの基本として実践されてきた考え方です。

しかしVUCAの今、これだけでは突発的な事象に対応できないとして、最近では「OODAループ」の考え方が注目を集めています。OODAループは下記の通り、フェーズを4つに分け、これを繰り返します。

  • Observe(観察):顧客や市場を観察

  • Orient(状況判断、見定め):観察結果に基づき、方向付けを実施

  • Decide(意思決定):具体的な方針や行動プランを策定

  • Act(行動):行動に移行

情報を収集し、状況や市場を見定め、行動を決定し、実行します。このループを回すことで、突発的な変化にも対応して、持続的な競争力を維持していきます。

「ダイナミック・ケイパビリティ」、「OODAループ」はともに、不確実で予測不可能な時代を乗り越え、ビジネスを成長させるための戦略論です。どちらの戦略論でもまず状況や市場の情報を収集して見定め、素早く意思決定をする必要があります。

情報収集と迅速な意思決定にはデジタルの活用が鍵

情報を収集して状況や市場を見定めるためには、情報収集能力や必要な情報を見定めるための判断能力が必要と言えます。さらに、経営陣やリーダーには、ビジネスチャンスを逃さないために、迅速な意思決定や変化に対する柔軟性も求められます。

しかし、こうしたスキルを持つ人材の雇用や育成には時間がかかり、知見・経験は一朝一夕で蓄積されるものではありません。そこで、有効なのがデジタルの活用です。デジタル化を推進することで、ビジネスの効率化やスピード向上を目指すことができます。

OODAループを例にすると、「観察」にインターネットを活用し、得た情報をグループウェアで社内共有したり、顧客や市場、POSデータなどさまざまなデータを分析するツールを利用したりすることで状況のさらなる把握が可能となります。「意思決定」や分析にAIやBIツールなどを活用することもできます。あとは「行動」するだけです。

また業務をデジタル化することで、業務全体のスピードを高めることができます。これまで手作業だったものをデジタル化し、電子署名サービスやWeb会議システムを活用して対面・書面から転換していくことで、意思決定のスピードも加速します。そこで新たな価値を創出していくことが、まさにデジタルトランスフォーメーション(DX)なのです。

VUCA時代に適応できる人材の雇用・育成、仕組みや基盤づくり、デジタル活用など様々な方法がありますが、自社に適したやり方で素早く変化に対応する能力(ビジネスアジリティ)を身につけることが、不確実で予測不可能なVUCA時代を乗り越える近道と言えるでしょう。

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