
IKEAがDocusignでオンボーディングを4日→2日に短縮 ― EU基準対応も実現した人事デジタル化とは
社員一人ひとりの体験価値を高めるために、人事プロセスから変革を
おもしろいデザインの椅子や寝具、そしてスウェーデン風ミートボール——。 IKEAは1943年の通信販売から世界的ブランドへと成長しましたが、同社が大切にしてきたのはデザインだけではなく「人」と「価値観」です。
その文化は、ポルトガルで3,000名以上の従業員を抱える人事領域にも明確に表れています。「IKEAでは全員が同じ方向を向き、共通の使命に向けて働いています」と人事部門のJoana Lopes 氏は語ります。
IKEAポルトガルは、人と地球を大切にするという理念に沿って、人事業務の中でも特に“紙に依存したオンボーディング”を抜本的に見直す必要性を感じていました。
この課題をDocusignとともに解決し、従業員体験を起点とした人事DXを加速させています。
サステナブルで、スピーディーで、ガバナンスも強い人事へ
紙の撤廃は“手段”であり、“社員体験向上の土台”です。
Docusign導入前、入社手続きは以下のような状態でした:
印刷 → 手書きサイン → スキャン → 手作業の保管
書類は国内5拠点に分散
本社は最新書類にアクセスしづらい
入社準備に最大4日かかることも
人が増え続ける組織にとっては、成長のブレーキになりかねない状態でした。
「成長を続ける中で、署名や保管をより中央で確実に管理する方法が必要でした。」とLopes氏は語ります。
現在、このプロセスはDocusignの導入によって完全にペーパーレス化。時間短縮効果も大きく、4日かかっていた作業は平均2日に、書類によっては数分で完了するようになりました。
Docusignがもたらした主な変化は以下の通り。
申請・署名・保管をすべてデジタルに一元化
忙しい採用シーズン(クリスマス、夏季)でも滞留しない
ユニフォームサイズ・希望の呼称など付随情報もワークフロー上で収集
新入社員は「初日から業務を開始できる状態」で出社
「必要な情報が揃っているので、初日から歓迎の時間に集中できます。」とLopes氏は語ります。
オンボーディングの質は採用の成功率・従業員エンゲージメント・離職率に直結するため、経営層にとってもインパクトのある改善です。
複雑なEU規制(eIDAS/QES)にも確実に対応
ポルトガルを含むEU圏では、人事書類でも厳格な本人確認と適格電子署名(QES)が求められます。
特に多国籍人材が多いIKEAポルトガルにとっては、 “デジタル化したいが、コンプライアンスも絶対に外せない”という現実的なジレンマがありました。
そこで活用されているのが、Docusign ID Verification for EU Qualified(QES対応本人確認)です。
居住カード
国民IDカード
パスポート(外国籍含む)
などを使って署名者の本人性を高いレベルで証明し、 EU要件に沿って安全にデータを保管できます。
「Docusignなら、プロセスはシンプルでもコンプライアンスは確実に守れます。」とLopes氏は語ります。
また、複数回の手続きが発生する従業員には、Docusign Identity Walletを利用し、
認証済みID情報の保存
将来の手続きをスムーズに (育休・産休・婚姻・税務…)
人事部門側の事務作業だけでなく、従業員側の体験も向上しています。
成長する組織を支える“将来性のある人事基盤”へ
IKEAポルトガルでは、People & Cultureチームが年間800件以上の書類をDocusignで処理しています。
Docusignの導入によって、人事チームはようやく“本来注力すべき領域”に時間を割けるようになりました。
「Docusignは、私たちが“人”に向き合うための時間を取り戻してくれました。」とLopes氏は語ります。 新入社員の受け入れに十分な時間を確保し、カルチャー浸透に丁寧に取り組めるようになっただけでなく、これまで煩雑だった多拠点間での書類管理やアクセスも一元化されました。さらに、国際色豊かな従業員を抱える組織でも、EU要件に準拠した強固なコンプライアンス基盤を維持しながら、業務量の増加や組織拡大にも柔軟に対応できる“スケーラブルな人事体制”を構築できています。
こうした変化を踏まえると、IKEAポルトガルにとってDocusignは、もはや電子署名ツールという枠を超え、成長する組織を支える「人事インフラ」そのものとなっています。