OCRとは?業務効率化を加速させる注目の技術
「紙の書類がDXの妨げになっている」「ペーパーレス化が実現しない」などの課題を抱えているのなら、OCRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。本記事では「OCRとは?」という基礎知識から、導入するメリット・注意点などを解説し、「紙文化」からの脱却に役立つ情報をお届けします。
テレワークの定着やDXの推進など、私たちのビジネス環境はさまざまな分野でデジタル化への対応が求められています。そうしたデジタル化に関する施策の推進に、重要な役割を果たすOCR。特に「紙」の文化がデジタル化の妨げとなっている企業や業務では、OCRが大きな力を発揮します。そこで、本記事では「OCRとは?」という基礎知識の解説から、OCRを導入するメリット、利用する上での注意点などについて紹介します。
OCRとは?基礎知識や歴史を紹介
OCRは「Optical Character Recognition(光学文字認識)」の略称で、活字などの文字をデジタルデータに変換する技術を指します。紙媒体に印刷された文書などをスキャナーで画像化して、そこから文字を抽出し、PC上の文字コードと対応させることでデータ化します。
昨今ビジネスシーンでは、スマートフォンやタブレットで名刺の画像を撮影し、自動的にデータ化する名刺管理アプリが広く利用されるようになりました。こうしたサービスにOCRが活用されています。
OCRの歴史
OCRの歴史は古く、20世紀初頭から研究・開発が行われています。日本でも、1968年に初の国産OCRが製品化され、当時の郵政省がハガキの仕分け作業の効率化に用いるなど (※1)、さまざまな分野の産業で活用されてきました。近年、OCRは急速に注目を集め、さらに幅広い産業への活用が期待されるようになりました。その背景には、昨今のAI(人工知能)の技術的な進化が大きく関わっています。
AIによるOCR技術の向上
従来のOCRにおける問題点は、手書き文字の読み取りを苦手とする点にありました。活字に比べて、手書き文字は、書く人のクセやインクの濃淡など、同じ文字でも形にばらつきがあることから正しい読み取りが困難であり、そのため、限定的な分野でOCRが活用され続けてきました。しかし、2010年代以降、人間の脳を擬似シミュレーションしたAIの学習方法「ディープラーニング(深層学習)」の技術が急速に発展し、画像認識の精度が向上しました。この技術を利用した「AI OCR」の登場により、高い精度での手書き文字の読み取りが可能になり、OCRのさらなる産業活用が期待されています。
OCRで何ができる?OCRを活用するメリット
では、OCRを活用するメリットはどんなところにあるのでしょうか。
入力業務の効率化
紙の書類をスキャンするだけでデータ化が可能なため、従来、手作業で行っていた入力作業を効率化でき、さらにヒューマンエラーも大幅に削減できます。たとえば、請求書などの伝票を処理する、経理・会計業務においては特に有効です。
書類の保管コスト削減
紙の書類をデータ化できるため、書類を保管する必要がなく、保管コストを削減できます。また、過去の保管書類もOCRを活用すれば速やかにデータ化できるため、社内から紙の書類を削減することも可能です。
検索が可能
紙の書類をデータ化することで、キーワード等による検索が可能になります。ファイルなどから必要な書類を探し出す手間が大幅に削減され、業務の効率化を実現します。
データ活用が可能
紙の書類をデータ化し、システム上で一元管理することで、社内情報の共有や編集、分析がしやすくなり、資料作成などに役立てることができます。経営におけるデータ活用が重要度を増す昨今において、OCRはデータ基盤の構築にも力を発揮します。
OCRは万能ではない?利用上の注意点
多種多様なメリットを有するOCRですが、利用する上での注意点も存在します。なかでも、重要なのが「100%の精度による読み取りは困難」という点です。
特に、先にも挙げたように、手書き文字の読み取りは難しく、100%の精度による読み取りは理論上不可能とも言われています(※2)。そのため、OCRを業務に活用する際には、人間の目によるチェックや修正作業も欠かせません。また、OCRを導入する場合も、読み取りのミスが発生することを念頭に置いて、どの業務に適応するのかを慎重に見極める必要があります。目覚ましい効果を発揮し、急速な業務効率化を実現するOCRですが、万能ではないことを理解した上で業務に導入するのが重要なポイントになります。
社内の情報を「見える化」するOCRでビジネスを加速
現在では、文書管理や経理システム、翻訳ソフトなど、さまざまなサービスに活用されているOCR。ドキュサインの製品のひとつ「Docusign Insight」でもOCRが使われており、紙やイメージファイル形式の契約書をデータ化し、検索に使用するインデックスを作成することができます(Docusign Insightは、現時点で日本でのローンチ時期は未定です。)。
このようにOCRは、業務効率を向上するとともに社内に蓄積した情報を「見える化」し、ビジネスを加速化させることができます。今後、文書に関するITツールやサービスの導入を検討する際には、OCR機能の有無もチェックしてみてはいかがでしょうか。
電子署名で文書のデジタル化を推進!無料トライアルは →
参考:
※1 コンピュータ博物館 日本のコンピュータ OCR 誕生と発展の歴史
※2 2019年1月8日 日経xTECH AI OCRで精度100%は無理、でもRPAと一緒に使わないのはもったいない
関連記事