同意書とは?承諾書や誓約書との違い、書き方、注意点について解説
企業が個人情報を取得する場合や、未成年者との契約について法定代理人の同意を得る場合などに利用する「同意書」。本記事では、同意書の法的効力や、「承諾書」「誓約書」「契約書」との違い、さらに書き方の例や注意点などを解説します。
企業が個人情報を取得する場合や、未成年者との契約について法定代理人の同意を得る場合などに利用する「同意書」。近年デジタル化の加速により、同意書を提出してもらう際に電子署名サービスを活用する企業も増えてきています。本記事では「同意書」について、その法的効力や承諾書、誓約書といった文書との違い、さらに書き方の例や注意点を解説します。
「同意書」とは
「同意書」とは、提出者が受領者に対して何らかの事項につき同意していることを証する書面です。
同意書が必要となる場合の例
同意書が必要となるのは、例えば以下のようなケースです。
個人情報を取得する場合:要配慮個人情報を取得する場合や、個人データの第三者提供を予定している場合などには、本人の同意を取得する必要があります(個人情報保護法20条2項、27条1項など)。
未成年者と契約を締結する場合:法定代理人の同意を取得する必要があります(民法5条1項)。
同意書の法的効果
同意書の提出によって生じる法的効果は、同意の対象事項によってさまざまです。例えば、個人データの第三者への提供について、本人の同意を取得した場合は、当該個人データを適法に第三者へ提供できるようになる効果が発生します。未成年者との契約について法定代理人の同意を取得した場合は、当該契約が確定的に有効となり、取り消すことができなくなるという法的効果が生じます。
このように、同意書の法的効果は千差万別であり、具体的な事情に応じて判断しなければなりません。
同意書と承諾書・誓約書・契約書の違い
「承諾書」「誓約書」「契約書」は、いずれも取引当事者の間でやり取りされる法的書面である点で、同意書と共通しています。しかしこれらの書面は、同意書と以下の点において異なります。
同意書と承諾書の違い
同意書と承諾書は、いずれも何らかの事柄や行為について異存がない旨(同意・承諾)を表明する書面です。同意書と承諾書の意味合いや内容は基本的に同じものになります。ただし、法令・契約において賛成の意思である「同意」が必要とされている場合には「同意書」、引き受ける意思を示す「承諾」が必要とされている場合には「承諾書」を作成します。
同意書と誓約書の違い
「誓約書」は、提出者が受領者に対して、何らかの行為または不作為を約束する書面です。同意書は単に同意を与えるだけですが、誓約書の場合は、提出者が受領者に対して法的な義務を負うという違いがあります。
同意書と契約書の違い
「契約書」は、取引などについて当事者間の合意事項を定めて締結する書面です。同意書を作成するのは提出者で、受領者はそれを受け取るだけです。これに対して、契約書は当事者全員の間で締結します(=当事者全員が作成者)。
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同意書の書き方・記載例
それでは、実際に同意書の書き方や記載例を見てみましょう。同意書の形式は自由ですが、一般には以下の構成をとるケースが多いです。
表題(タイトル):「……に関する同意書」などと記載します。一見して同意内容の概要がわかる名称とすることが望ましいです。
提出先:同意書の提出先である主体(会社など)を明記します。
前文:同意を表明する主体や、記載事項について同意する旨などを明記します。
本文:同意事項の内容を記載します。
署名欄:同意書の作成日を明記した上で、署名捺印等を行います。
以下、「個人データの第三者提供に関する同意書」、「法定代理人同意書(未成年者との契約時)」の記載例を紹介します。
▼「個人データの第三者提供に関する同意書」の例
▼「法定代理人同意書(未成年者との契約時)」の例
同意書を提出してもらう際の注意点
顧客や取引先に同意書を提出してもらう際には、以下の点に注意する必要があります。
必要な同意事項が網羅されていることを確認する
作成日を明確化する
提出された事実を記録化する
1. 必要な同意事項が網羅されていることを確認する
同意書の記載で最も重要なのは、必要な同意事項が網羅されていることをきちんと確認することです。
例:
「要配慮個人情報の取得に関する同意書」の場合:取得する要配慮個人情報の内容を列挙した上で、取得に同意する旨を明記する
「個人データの第三者提供に関する同意書」の場合:第三者提供される個人データの内容、提供先の情報、提供先における利用目的を明記する
「法定代理人同意書」の場合:本人の氏名・住所・生年月日・年齢、同意の対象となる法律行為(契約など)を明記する
同意を要求する法令や契約の規定を確認し、同意書の記載事項に漏れがないことを確認しましょう。
2. 作成日を明確化する
同意書の提出を受ける際には、作成日(=署名・押印等をした日付)を明確にしてもらう必要があります。法令・契約により同意が必要とされる行為ができるのは、実際に同意を得た後です。行為と同意の前後関係が不明確だと、後に法令違反や契約違反の可能性を疑われる可能性が否定できません。
そのため、同意書には必ず作成日を明記してもらいましょう。もし作成日が記載されていなければ、差し戻して追記してもらう必要があります。
3. 提出を受けた事実を記録化する
同意の有無について後のトラブルを防ぐためには、同意書の提出を受けた事実を記録化しておくことが大切です。いつ、どのような内容の同意書の提出を受けたかについて、検証可能な形で記録に残す必要があります。
書面提出であれば、日付を自筆で記入した上で提出してもらったり、受領した書面をPDF化して提出者あてにメール送信する方法などが考えられます。しかし前者は確実ではなく、後者は二度手間で煩雑なので、電子文書で提出してもらうことも検討すべきでしょう。
同意書を電子化するメリット
顧客や取引先などから同意書を取得する機会が多い場合には、電子署名サービスを導入して、電子データで同意書を提出してもらうのが便利です。
ドキュサインの電子署名(製品名:Docusign eSignature)なら、同意書の内容や送信日時などの情報を記録に残すことができます。世界標準のセキュリティ要件を満たしたクラウド上に保管されるので、後から記録を確認するのも容易で、改ざんの心配もありません。郵送にかかる時間や手間を省き、保管場所を用意する必要もないため、同意書の準備、受領、保管までのプロセス全体を効率化することが可能です。
同意書だけでなく、ドキュサインの電子署名は取引に関して締結する契約書など幅広い文書で利用でき、業務効率化やコスト削減、コンプライアンスの向上など、さまざまなメリットを享受できます。働き方の変革により、電子契約に対するニーズは急速に高まっています。合意・契約プロセスの効率化を目指すなら、電子署名サービスの導入をぜひご検討ください。