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わかりやすく解説!デジタル田園都市国家構想とは

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岸田内閣の看板政策の1つである「デジタル田園都市国家構想」には、どのような目的があり、どのような社会の実現を目指しているのでしょうか。デジタル田園都市国家構想実現会議でデジタル庁長官の牧島大臣が提出した資料等を参考にしながら、その概要や背景、交付金制度などの具体的な施策について解説します。

目次

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岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」。その実現の柱となるのが「デジタル田園都市国家構想」です。現在、進められているこの政策はどのような目的で、どのような社会の実現を目指しているのでしょうか。

本記事では、デジタル田園都市国家構想の概要や背景、交付金制度などの具体的な施策について解説します。

デジタル田園都市国家構想が目指す「理想的な社会像」とは?

「デジタル田園都市国家構想」とは岸田内閣の看板政策の1つであり、第205回国会の岸田文雄首相による所信表明演説において表明されました(※1)。

デジタル田園都市国家構想の目的は「地方と都市の差を縮め、都市の活力と地方のゆとりの両方を享受できる国」を実現することです(※3)。デジタル技術によって、どこにいても大都市並みの働き方や質の高い生活が可能になる「人間中心のデジタル社会」が、理想的な社会像として位置付けられています。その実現に向けて、デジタルインフラなどの共通基盤の整備や、地方を中心にしたデジタル技術の実装を進めていくことが、デジタル田園都市国家構想の方針です。

なお、所信表明演説は内閣総理大臣が政府の当面の方針を明らかにするために行うもので、例えば、菅義偉前首相は第203回国会の所信表明演説において、デジタル庁の設置を表明しました。デジタル田園都市国家構想が所信表明演説に盛り込まれたことからも、岸田内閣の主要な政策であることが分かります。岸田首相は政策推進を担う「デジタル田園都市国家構想実現会議」を設置し、これまでに2回の会議を実施しています(※2)。

デジタル田園都市国家構想の背景にある「地域格差」

岸田内閣がこうした政策を打ち出す背景には、地域格差の問題があります。現在、地方では産業の空洞化、交通・物流インフラの衰退、教育機会の減少などに起因する、高齢化や過疎化が進んでおり、大都市圏との経済的・社会的な格差が深刻化しています。こうした地域格差を是正するため、デジタル田園都市国家構想は、地方へのデジタル技術の実装に重点を置いています。

具体的な施策として、デジタル田園都市国家構想担当相の若宮大臣は、第2回デジタル田園都市国家構想実現会議において、以下の4つに取り組むとしています(※4)。

  1. デジタル基盤の整備5G(第5世代移動通信システム)、データセンターなどのデジタル基盤の整備を推進。国家主導のもと、共通ID基盤、データ連携基盤、ガバメントクラウドなどを全国に実装する。

  2. デジタル人材の育成・確保:地方で活躍するデジタル推進人材について、2022年までに年間25万人、2024年度末までに年間45万人育成できる体制を段階的に構築し、2026年までに230万人を確保する。

  3. 地方の課題を解決するためのデジタル実装:交通・農業・医療・教育・防災などの各分野について、デジタル技術を活用して効果的に地域課題を解決するための取り組みを全国できめ細やかに支援する。併せて、地域づくりを推進するハブとなる経営人材を国内100地域に展開する。具体的には、「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を創設し、地方公共団体によるデジタル技術を活用した社会システムづくりやサテライトオフィスの整備・運営などを支援する。デジタル田園都市国家構想推進交付金は、①デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上を支援する「デジタル実装タイプ」、②地方への新たなひとの流れを創出するためサテライトオフィスの施設整備等に取り組む「地方創生テレワークタイプ」の2種類に分けられ、令和3年度補正予算で200億円の予算が編成されています(※5)。

  4. 誰一人取り残されないための取り組み:年齢・性別・地理的な制約などにかかわらず、誰でもデジタル技術の恩恵を享受できる「取り残されない」デジタル社会を実現する。

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デジタル田園都市国家構想で社会はどう変わる?

デジタル田園都市国家構想によって、社会はどのような姿に変わっていくのでしょうか。デジタル田園都市国家構想実現会議では、そのイメージが示されています。

出典:デジタル田園都市国家が目指す将来像について(デジタル庁)

第2回デジタル田園都市国家構想実現会議でデジタル庁の牧島かれん大臣が提出した資料では、政府の主導により整備されたデジタルインフラと公共サービス基盤の上で、産業・知・暮らしの変革が進み、「心豊かな暮らし」(ウェルビーイング)「持続可能な環境・社会・経済」(サスティナビリティ)「地域発の産業革新」(イノベーション)が実現する社会像が描かれています。

出典:デジタル田園都市国家が目指す将来像について(デジタル庁)

こうした社会のなかで、人々は「ゆりかごから墓場まで」、最先端の知・仕事・文化と触れ合うことができ、デジタルの力であらゆる最先端のサービスを受けられるとされています(※6)。先に挙げた資料では、そのサービスの具体例も示されており、子育て、教育、生活、安全安心、介護・医療、相続など、人の一生を包括するデジタルサービスが構想されています。

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デジタル田園都市国家構想は、その名の通り「国家構想」であり、今後、国家戦略特区による規制改革など、総合的で大胆な施策が見込まれます。事実、デジタル田園都市国家構想には、令和三年度補正予算と令和四年度予算を合わせて、5.7兆円の予算が投入されることが決定しています(※7)。

岸田首相が掲げる「新しい資本主義」。その実現の柱であるデジタル田園都市国家構想により、国内の通信インフラなどの整備はますます進み、デジタル技術の活用も加速していくでしょう。事実、マイナンバーカードの普及率が4割に達するなど、デジタル基盤の確立に向けた取り組みは着実に進んでいます(※8)。今後、大きな動きが予想されるデジタル田園都市国家構想に注目です。

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参考:

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