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今でもFAXが利用される理由とは?FAXの歴史と現状、デジタル化への道のりを紐解く

安達 智洋リード・コンテンツ・マネージャー
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ペーパーレス化の「壁」となるFAXの利用。最近では政府主導による「FAX廃止」の方針も打ち出されていますが、業界によってはまだまだ頻繁に利用されているのが現状です。本記事ではFAXの歴史や現状を紐解きながら、FAXが今なお根強く利用され続ける背景や理由、電子署名に代表されるようなデジタル化について考察します。

目次

using fax machine

脱ハンコ」の方針を掲げ、行政のデジタル化を推進している河野太郎行政改革・規制改革担当大臣。2020年9月27日には、行政手続きにおける押印廃止に続いて、「FAX廃止」に取り組む意向を明らかにしました。

行政に限らず、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するうえで、業務におけるペーパーレス化は必須項目。FAXはそのペーパーレス化を阻害する要因の1つでもあります。

しかし、その一方で、FAXは現在もさまざまな場面で利用されており、FAXが商習慣に深く根付いた業界も存在しています。そこで本記事では、FAXの歴史や現状を紐解きながらFAXがなぜ現在も利用され続けるのか、そしてデジタル化の可能性について考察します。

100年以上もの歴史を誇るFAXの変遷

【開発〜黎明期】電話よりも先に発明されていた? 

FAXの誕生は1843年。スコットランドの機械技師であるアレクサンダー・ベインによって発明されました(※1)。これはグラハム・ベルによる電話の発明の33年前であり、通信技術としては、電話よりもFAXのほうが先であったことが分かります。

しかし、その後、FAXが一般的な普及に至るまでには、100年以上の時間を要します。1970年代頃まで、FAXは非常に大型かつ高価な機器であり、報道や鉄道、警察といったごく一部の業界において、組織内の通信手段として利用されていました。

【普及期〜成熟期】日本製品が世界を席巻

FAXが一般的な広がりを見せるのは、1980年代。その普及に一役買ったのが、日本の企業群でした。日本語は、漢字のような象形文字をベースにしており、もともと手書きの文面を送るメリットが大きい言語です。そのため、国内からの技術発展のニーズも高く、1972年にFAXの電話回線への接続が許可されたことを皮切りに、通信業界を中心にした技術競争が加速します。

そして、1980年代には国内の電機、通信、事務機器メーカーなど、数多くの企業がFAX市場に参入し、オフィス用や家庭用の製品をリリース。世界市場を日本のFAXが席巻し、国内においても、最盛期にはFAXの世帯保有率が57.1%にのぼるなど(※2)、まさに通信手段のスタンダードとして定着します。

【現在】年々、保有数が減少。20代世帯の保有率は1.6%

しかしその後、デジタル技術の進展やインターネットの普及に合わせて、FAXの保有数は次第に下降線をたどっていきます。

2019年には、世帯保有数は33.1%にまで低下しており、また、20代の世帯では保有率1.6%と(※3)、若い世代にとっては非常になじみの薄い通信手段となっていることが分かります。

情報通信機器の保有状況の推移

図:情報通信機器の保有状況の推移(平成 30 年通信利用動向調査の結果

FAXが現在も利用されている業界とは?

年々利用の場面が減少しているFAXですが、業界によっては現在でも頻繁に利用されています。

  • メディア業界

メディア各社に送られるプレスリーリースは、現在も、FAXで送信されるのが一般的です。新聞社や雑誌社など、紙媒体になじんでいる企業が多いことも要因の1つですが、送信する側にとっても、開封しなければ内容が確認できないメールとは異なり、 FAXは文面を一目で把握できるため、リリースの情報を確認してもらいやすいというメリットがあります。

  • 不動産業界

図面や契約書類などのやり取りにFAXを利用しています。法人だけでなく、土地や物件のオーナーといった個人とも多数の書類を交わすため、紙によるやり取りやFAXの利用が一般化しています。

  • 行政機関

自治体ごとに条例や情報セキュリティの基準が異なり、インターネットを通じた情報のやり取りに慎重であることから、FAXの利用が定着しています。

一部の自治体では新型コロナウイルス感染者数の集計にFAXが使われており、データ収集の漏れや重複計上があったというニュースを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。このケースでは、FAXが殺到し通信エラーが起こったことや、別々の保健所が同じ人を報告したこと等が要因であると報じられています。一台のFAXの処理能力には限度があり、また(場所が異なる)複数の人と情報共有がしにくく、さらにデータをマニュアルで転記する必要もあるため、FAXではエラーが発生しやすいという問題点が浮き彫りになりました。

FAXのメリット・デメリット

では、FAXの具体的なメリットとデメリットは何なのでしょうか。以下で、例を挙げて解説します。

FAXのメリット

  • 紙の書類を手軽に送信できる

業務の特性上、日常的に紙の書類が発生する業種にとっては、書類をスキャンし、PDF化してメールで送信するといった作業は非常に手間がかります。特に、急を要する場合、紙の書類をすぐに送信できるFAXは有効性が高いです。

FAXのデメリット

  • コストの高さ

機器の設置や維持にコストがかかるのは、大きな難点です。また、用紙やトナーの補充にかかる費用だけでなく、送られてきた書類を整理し、保管するための人的なコストも無視できません。

  • リモートワークに対応できない

日常的にFAXを利用している場合、オフィスでの作業が必要になるため、リモートワークの実現は困難です。例えば、コロナ禍においても、FAXの送受信のために出勤せざるを得ないという事態が数多くの企業で発生していたようです。

FAX廃止を背景に進むデジタル化 。そのメリットとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)ペーパーレス化の必要性が叫ばれ、テレワークのような場所にとらわれない新しい働き方が広がる現在、企業には「デジタル化」がより一層求められています。FAXに関しても例外ではありません。eFAXや電子署名といったツールを活用し、自社に合った方法で従来のFAXに変わる新しいプロセスを構築していくことが必要です。

例えば、今までFAXでやりとりしていた書類の多くは、電子署名に置き換えることが可能です。契約書や稟議書、発注書といった署名や押印が必要な紙の書類はもちろん、アンケートや調査、各種通知など、電子署名の適用範囲は広く、様々なシーンで利用することができます。FAX機器や紙が必要ないので、コストの削減やスペースの有効活用が可能となり、クラウド上で安全に保管されるため紛失のリスクもありません。また、電子データとして情報を取得できるため、単に情報を「やり取り」するだけでなく、データの活用がしやすくなります。さらに、ドキュサインのモバイルアプリを利用すれば、モバイル機器に内臓されているカメラ機能を使って、紙の書類をスキャンし電子化できるため、FAXのように手軽に書類をやり取りできます。

業界の文化や業務の特性上、FAXの利用に一定のメリットがあるのは事実のようです。しかし今後、社会全体で「FAX廃止」の流れはますます加速していくと見込まれます。そのときに備えて、現在から新たなツールを整備し、徐々に電子化を進めておくのが賢明なのではないでしょうか。

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出典:

安達 智洋リード・コンテンツ・マネージャー
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