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世界各国が推進するカーボンニュートラルとは?

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カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが世界的に加速しています。日本では、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指し、国、地方公共団体、企業、個人。それぞれの立場での取り組みが求められています。今回は、カーボンニュートラルの意味を解説し、具体的な実践方法や取り組み事例を紹介します。

目次

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近年、温室効果ガスの排出削減をはじめとした、カーボンニュートラルの取り組みが世界的に加速しています。日本では2022年4月から「改正地球温暖化対策推進法(改正温対法)」が施行されるなど、身近な問題として見聞きする方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、カーボンニュートラルの意味や目的を解説し、温室効果ガスを削減するための具体的な実践方法、さらに企業による取り組み事例を紹介していきます。

カーボンニュートラルとは?なぜ推進されているのか?

カーボンニュートラル(Carbon Neutral)とは、直訳すると「炭素中立」という意味になりますが、環境省は「市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの責任と定めることが一般に合理的と認められる範囲の温室効果ガス排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部を埋め合わせた状態(※1)」と定義しています。

日本政府は、2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること、つまりカーボンニュートラルの実現を宣言し、現在「脱炭素社会」に向けた様々な取り組みが進められています。ここで述べている「全体としてゼロにする」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から植林・森林管理などによる「吸収量」を差し引き、実質的な合計をゼロにすることを意味します(※2)。温室効果ガスとは、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素など、地球温暖化に大きな影響を与えるガスのことです。

近年、温室効果ガスの排出量増加に伴う気候変動問題に大きな注目が集まっており、事実、100年間ほどで世界の平均気温は約1℃上昇しています。つまり、現在のペースで温室効果ガスを排出し続ければ、さらなる気温上昇が予想されます。気温上昇は、気象災害などのリスクにもつながると指摘されており、世界各国で重大な危機として受け止められています。

そうした中、温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動問題の解決や持続可能な社会づくりを目指すことが、カーボンニュートラルの主な目的となります。

なお、カーボンニュートラルと似た意味の言葉として「カーボンゼロ」、「ネットゼロ」、「ゼロカーボン」などがあります。これらの言葉は、組織・団体によって定義や用法が若干異なりますが、「二酸化炭素の排出量を実質的にゼロする」という点では、概ね共通しています。本記事では、参考サイトの表現にならい、これらの言葉とカーボンニュートラルを同じ意味合いとして扱います。

おすすめ記事:「地球温暖化」から「地球沸騰化」の時代へー今とるべき対策とは?

カーボンニュートラルや温室効果ガス削減の実践方法とは?

カーボンニュートラルを実現させるためには、社会全体での取り組みが求められます。そのため、国や地方公共団体だけではなく、企業や個人単位でも温室効果ガス削減に努める必要があります。ここでは、国、地方公共団体、企業、個人、とそれぞれの立場でどのような取り組みが推進されているのかを紹介します(※3)。

国、政府

  • 脱炭素事業への新たな出資制度

環境省の主導により、脱炭素事業に積極的な企業を支援する出資制度が検討されています(2022年2月現在)。令和4年度財政投融資計画には、産業投資として200億円が盛り込まれており、1,000億円程度の脱炭素事業の創出が目指されています。

  • 地球温暖化対策計画等の見直し

「地球温暖化対策計画」や「エネルギー基本計画」など、従来の地球温暖化やエネルギーに関する政策への見直しを図り、より長期的なビジョンを見据えた気候変動対策へのシフトチェンジを図っています。なお「地球温暖化対策計画」にて、日本は2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しています。

  • 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略

2021年、経済産業省の主導により「グリーン成長戦略」を策定。関係省庁が一体となった取り組みにより、イノベーションの創出を促し、エネルギーや産業構造の変革を図っています。

地方公共団体

  • ゼロカーボンシティの表明

2022年1月現在、534の地方公共団体が2050年までにカーボンニュートラル実現に取り組むと表明しています。これらの地方公共団体は、改正地球温暖化推進法に定められた再生可能エネルギー利用の実施目標設定などを通じて、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいきます。

企業

  • 脱炭素経営の取り組み

温室効果ガス排出削減などを通じて、政府支援制度の活用、企業価値の向上、ESG投資の呼び込みなどを進める「脱炭素経営」が、グローバル企業を中心に活発化しつつあります。ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)、これら3つの観点を重視する企業に投資を行う長期の資産運用に適した投資方法を指します。

個人

  • 脱炭素ライフスタイルへの転換

カーボンニュートラルに貢献する製品やサービスを選択し、脱炭素社会を支えるライフスタイルが広がっています。具体的には、省エネ住宅やEV車の購入、生産・流通において自然環境や社会に配慮したサスティナブルファッションの選択などが挙げられます。

カーボンニュートラルに向けた企業の取り組み事例

前述の通り、企業がカーボンニュートラルに貢献するには、脱炭素経営が求められます。では、具体的に脱炭素経営とはどのような取り組みを指すのでしょうか。

例えば、ある物流企業では、倉庫屋根のスペースを有効利用した太陽光発電の導入が行われています。これにより、社内で再生可能エネルギーの活用が進み、事前の計画値を超える温室効果ガスの排出削減が実現されています(※4)また、別のIT企業では自社のサーバーを仮想サーバーに転換することで温室効果ガス排出を抑制し、電力コストの削減などを実現しています。

社内でのペーパーレス化推進や再生紙の利用も脱炭素経営の1つです。書類のデジタル化を進めるのはもちろん、「できるだけ無駄な紙は使わない」という文化を根付かせ、社員一人ひとりのカーボンニュートラルへの意識を醸成するのも、重要な取り組みと言えるでしょう。

カーボンニュートラルの実現は、文字通りグローバルな課題です。そうした重大な課題を乗り越え、持続可能な社会を作り上げためにも、私たち一人ひとりのマインドチェンジが求められていくでしょう。

おすすめ記事:再生可能エネルギーとは?基礎知識から日本の現状、今後の見通しまで徹底解説

参考:

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