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システム構築の特効薬?APIとは何なのか

安達 智洋
安達 智洋シニア・コンテンツ・マーケティング・マネージャー
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ITやクラウドに関わる話題の中でよく耳にする「API」という言葉。頻繁に使われているワードですが、「便利そうだけど、今ひとつよく理解できない」という方も多いのではないでしょうか。特定の製品やサービス名ではなく、技術名でもないAPIとはいったい何なのか、ビジネスのどのような場面で役に立つものなのか考えてみましょう。

    • ビジネススタイルを変えるAPI 
    • API活用のメリットは?
        • “連携”で広がるAPIの未来
        • まとめ

        目次

        アプリケーションの設計

        「サービスはAPIで提供されます」「この部分はAPI連携しましょう」など、ITにまつわる話題の中で頻繁に登場するAPIという言葉。情報システム関係者にとっては身近で便利な存在のようですが、他部門の人たちからは「便利そうだけど、今ひとつわかりにくいもの」と捉えられているようです。特定の製品やサービス名ではなく、技術名でもないAPIとはいったい何なのか、ビジネスのどのような場面で役に立つものなのか、今回はAPIの基本やメリットについて考えてみましょう。

        ビジネススタイルを変えるAPI 

        APIはApplication Programming Interfaceの略語で、「アプリケーションを開発(プログラミング)するためのインターフェース」という意味を持っています。インターフェースはものごとの境界・接続の仕様を示す言葉ですが、日本語にすると曖昧に捉えられてしまうことから、「いったい何?」という印象を持たれがちなようです。本記事ではAPIを「アプリケーション開発を効率化するための手法」として捉えています。

        高度な技術と専門性が求められる開発の現場では、努力を重ねて生み出した機能は自社の貴重な財産であり、外部への公開は極力避けるというのが原則でしたが、その決まりを脱して機能を外部に公開し、連携や共有を可能にするAPIは、システム開発を効率化するとともに大幅なコストダウンを実現する仕組みとして急速に普及しました。

        APIの基本を理解するためのわかりやすい例としては、日頃使っているパソコンでの文書作成が挙げられます。ご存知の通りパソコンの動作はOSが管理し、編集作業はアプリケーションが担当します。文書作成時にはワープロ、表計算、画像編集といった複数のアプリケーションが使われるケースが多いのですが、ユーザーが各機能を途切れることなく一元的に利用できるようにする仕組みがAPIであり、その考え方自体は新しいものではありません。

        そんなAPIの姿に変化が現れるきっかけとなったのが、1990年代に始まったインターネット普及でした。ネット上で提供されているさまざまな機能がWebブラウザを介して簡単に共有できる「Web API」の仕組みが導入されたことで一気に利用が広がり、現在に至っています。たとえば、商品やサービスの価格を比較するサイトではAPIを使って販売店が提示する最新価格を表示していますが、最近このようなサイトが急速に増えていることからも、普及の勢いが読み取れます。

        低コストかつ短期間での導入が可能で、開発者・ユーザーの双方にメリットを与える仕組みとして欠かせない存在になったAPIは、システムの「独占から共有へ」という流れを作り、同時にビジネススタイル全体に変化をもたらすものとして期待が寄せられています。なお、現在広くAPIと呼ばれている仕組みは、多くがWeb APIの形で提供されています。

        なお、APIはビジネスの現場だけでなく公的機関でも積極的に導入が進められています。現在、政府統計のほとんどがAPIで公開されているほか、電子政府総合窓口システム、ハローワークシステムなど、日常のさまざまな場面でAPIを活用する機会が増えてきています。

        API活用のメリットは?

        アプリケーションの開発

        次に、APIの活用による具体的なメリットについて考えてみましょう。

        開発工程の削減、期間短縮

        • アプリケーション開発で大きな比重を占めるプログラミングや各種のテストが省略できるため、負荷が減少するとともに、大幅な開発期間の短縮・コストダウンが可能

        • 多くのAPIが無償、もしくは安価で提供されているため、低コストで最新システムが導入可能

        セキュリティ向上

        • あらかじめ共有、連携を前提としたセキュリティ対策が講じられているため、トラブル発生時の迅速な対応が可能

        APIは既存のシステム内に自由に組み込むことが可能です。たとえば、会計部門では金融機関のAPIと連携して取引管理を行い、営業部門は顧客管理にAPIの機能を追加して社内に散財するデータを一元管理するなど、活用を推進できます。これらの機能は継続的に改良されるため、「古くて使いものにならない」といった問題が発生することはありません。

        他にも、クラウドベースで利用することによる省スペース効果やメンテナンス、アップデートの省力化など数々のメリットがあり、ある意味APIは「使わないと損」であると言っても過言ではありません。ドキュサインが提供する電子署名ソリューションも、多くの機能がAPIで提供されており、既存のアプリケーション、ワークフロー、およびプロセスにアプリケーションを組み込むことで、ユーザーが自由に拡張、接続できる環境が整備されています。

        “連携”で広がるAPIの未来

        モビリティサービスを利用

        APIの利便性は誰もが認めるところですが、導入に向けた動きがとくに強まっているのが金融ビジネスの分野です。金融庁が2017年に打ち出した「オープンAPI構想」では、金融機関が外部のサービス提供事業者と顧客の口座情報を連携する仕組みを整備することが定められ、現在も着々と準備が進められています。シビアな情報管理が求められる金融業界ですが、例えば、さまざまな金融機関の口座情報を連携・集約し一元管理できる個人財務管理(PFM)を始めとするフィンテック(金融サービスと情報技術を結びつけた革新的なサービス)による利便性向上は目を見張るものがあり、もはやオープン化の流れは止められないという印象があります。

        金融以外の分野でも、さまざまな業界でAPI推進の取り組みが進んでいます。トヨタコネクティッドの「モビリティサービス・プラットフォーム」では、車両から収集したビッグデータをAPIで提供し、保険会社やカーシェア事業者といった関係企業が有効活用できる仕組みを構築しています。また、倉庫や物流の機能をAPIで公開し、ECサイトと連携させることで、在庫や配送状況の管理を効率化する試みや、健康診断のデータから得られた指標をAPIでユーザーのスマートフォンに提供して健康管理に役立てる取り組みなど、「連携」をキーワードにした多くの事例が紹介されています。

        一方、最近ではAPIを提供する企業の勢力図にも変化が現れています。これまで牽引役だった巨大プラットフォーム(Amazon、Facebook、Google、Twitter、マイクロソフトなど)に加え、APIを専業とする新しい企業が続々と参入しており、今後も激しい競争が続くと思われます。かつて日本はAPIの取り組みが諸外国に比べ遅れているとの指摘がありましたが、最近では日本発のAPIスタートアップ企業も増えています。

        まとめ

        まさに「いいことづくめ」と感じられるAPIですが、導入・運用にはいくつかの留意点があるので注意しましょう。まず挙げられるのは「準備」で、他の企業が提供するAPIに合わせた環境をあらかじめ自社で整備しておく必要があります。不具合発生時の対応についても事前に理解しておくべきでしょう。

        また、これはAPIに限らず言えることですが、あらゆるシステムにはアップデート、バージョンアップ、メンテナンスといった改修がつきものです。努力してAPIを組み込んだ仕組みを構築しても、API提供企業側で行われる改修に対応できないと直ちにシステムダウンにつながる恐れがありますので、あらかじめスケジュールを把握して適切に対応することが必要です。

        この機会に、APIで便利になる部分を洗い出してみるとともに、すでにAPIを導入した業務についても継続的なブラッシュアップを行い、さらなる業務の効率化を目指してみてはいかがでしょうか。

        Docusign eSignature APIでできること

        安達 智洋
        安達 智洋シニア・コンテンツ・マーケティング・マネージャー
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