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紙カードからフロッピーディスク、クラウドまで - 記録媒体の歴史を振り返る!

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先日、行政手続きの提出手段として、フロッピーディスクなどの電子記録媒体を指定する法律が約1900条項も存在しているという報道が注目を集めました。紙カードからフロッピーディスク、CD、そしてクラウドへと進化する記録媒体の歴史を振り返りながら、私たちの社会制度とデジタル技術のギャップについて考えていきます。

目次

フロッピーデスク、ビデオテープ、USB、CDなどの記録媒体

先日、行政手続きの提出手段として、フロッピーディスクなどの電子記録媒体を指定する法律が約1900条項も存在しているという報道が注目を集めました(※1)。クラウドサービスの利用が普及するなど、デジタル技術が急速に進化するなかで、既存の社会制度との溝が浮き彫りにされた事例と言えるでしょう。そこで本記事では、記録媒体の歴史を振り返りながら、私たちの社会制度とデジタル技術のギャップについて考えていきます。

コンピュータ記録媒体の元祖「紙カード」とはいったい?

20世紀の前半から中ごろにかけて、コンピュータ用の記録媒体として「紙カード」や「紙テープ」が使われていました。コンピュータの進化とともに、今ではほとんど見かけなくなった「紙カード」「紙テープ」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

紙カード(パンチカード)

紙カード(パンチカード)は、厚めの紙でできたカードで、そのカードに穴を開けることでプログラムやデータを記録します。プログラムの1行となる穴の数は時代によって変遷がありますが、IBMが開発した80列12行のパンチカードが最もポピュラーな規格であり、「IBMカード」と呼ばれました。1枚のカードに記録できる情報は少なく、1つのプログラムやデータを生成するために数百枚、数千枚のカードが必要でした。そのため、カードの束を落とすなどしてカードの順序が入れ替わると、正しい順序に戻すために多大な手間を要したといいます(※2)。

紙テープ(情報交換用紙テープ)

パンチカードと同じ時期には、紙テープも記録媒体として利用されています。紙テープは、1本のテープに連続してプログラムやデータを記録するものです。パンチカードのようにかさばらず、低価格で販売されたことから、小型の計算機の記録媒体として利用されました。1本のテープに全てのプログラムやデータが記録されているため、カードの順序が入れ替わるなどの欠点はありませんでしたが、テープを巻き取るためのリールが必要でした(※2)。

磁気記録媒体や光学媒体の登場で、データのやり取りが容易に

紙テープ・紙カードに続いて、1970年代ごろからは磁気テープなどの磁気記録媒体が使用されるようになりました。さらに、それに次いでレーザーで情報を書き換える光学媒体も登場します。

▼磁気記録媒体

磁気テープ

1950年代にアメリカで「磁気テープ」を使った記録媒体が開発されました。紙テープなどと比べ、50倍以上の処理速度に加え、大容量のデータを取り扱えるため、1970年ごろにはコンピュータ用の記録媒体として広く利用されるようになります。また、当初、磁気テープはオープンリール型で利用されていましたが、後に小型化され、カセットテープやビデオテープなど低価格の日用品としても広く普及します(※3)。

フロッピーディスク(FD)

1971年には、IBM社が世界で最初のフロッピーディスク「IBM 23FD」を発売しました(※4)。フロッピーディスクはデータを保存して持ち運ぶことができ、他のコンピュータに容易に移すことができることから、世界中に広く普及し、またPCの主要な記録媒体として利用されました。しかし、1990年代中ごろになると高速なネットワークや、光学を用いた記録媒体の登場により、普及に歯止めがかかっていき、次第に衰退。現在では多くの企業が生産を中止しています。

▼光学記録媒体

光学ディスク(CD・DVD・BDなど)

レーザー光を使ってデータを読み取る仕組みから、「光学ディスク」と呼ばれています。光学ディスクは量産化しやすい構造であったため、1990年代以降に急速に普及します。規格の登場時期により世代が定義されており、おおむね1980年代が第一世代(CDなど)、1990年代が第二世代(DVDなど)、2000年代が第三世代(Blu-rayなど)に分類されています。

2000年以降、USBやSDカードなどのフラッシュメモリが普及

パソコンだけでなく、デジタル家電やスマートフォンなどで利用されるフラッシュメモリ。1980年代に発明され、1990年代には製品化を実現、2000年以降は容量や転送速度の向上により、さまざまな場面で利用されるようになります。

フラッシュメモリ(USB、SDカード、SSDなど)

フラッシュメモリは、USB、SDカードなどに利用されている記録媒体です。フラッシュメモリは半導体を利用しており、何度も繰り替えし書き込みができるのに加え、データの消去を一瞬で行えるという特徴があります。また、小型軽量、静穏性、耐衝撃性、省電力などの特性を持つため、スマートフォンやタブレットなどの携帯型電子機器に搭載されています(※5)。

さらに、近年では、書き換えに対する耐久性の向上・大容量化・低価格化・高速化も進展。大容量記憶装置としても活用されるようになっています。フラッシュメモリを用いた大容量記憶装置であるSSDは、従来のHDDに比べ、外部の振動や衝撃に強く、軽量で消費電力も抑えられるなどの利点を持ちます。そのため、近年、普及が進んでおり、2020年には出荷台数でHDDを追い抜くこととなりました(※6)。

近年ではクラウドストレージが一般化。行政手続きにも「進化」が必要?

記録媒体の歴史を振り返ると、現在に至る50年ほどの間に目まぐるしい技術的進化があったことがわかります。さらに、最近では、クラウドストレージの普及も進んでおり、技術的進化は止まるところを知らないようです。

クラウドストレージは、HDDやSSDと比較しても、拡張性や可用性に優れており、ユーザーにとって利便性の高い記録媒体と言えるでしょう。また、同様の理由から、クラウドサービスの普及も進んでいます。実際に、SaaS(Software as a Service)などのクラウドサービスがビジネスシーンでは広く普及しており、プライベートでも、写真や動画データをクラウドストレージに保存したり、クラウドを利用した映画や音楽のサブスクリプションサービスを利用している方も多いのではないでしょうか。

こうした社会全体のクラウド化の流れを考慮すると、今後、データの記録や保存のあり方も「記録媒体」に捉われない形に進化していくと考えられます。フロッピーディスクによる申請が残存する行政手続きにおいても、技術的進化を踏まえた制度の確立が求められているのかもしれません。

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出典:

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