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「足で稼ぐ」から脱却?デジタル化で変容する営業部門

安達 智洋リード・コンテンツ・マネージャー
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テクノロジーの進展やコロナ禍の影響もあり、ビジネスパーソンの営業スタイルが大きく変化し、従来の「足で稼ぐ」から「デジタルで稼ぐ」時代になりつつあります。では、デジタル化によって営業部門はどのように進化し、成果を上げることができるのでしょうか。今回は、営業部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)について考えていきます。

目次

先行きの見えないコロナ禍の影響で、ビジネスパーソンの営業スタイルは大きく変化しています。デジタルツールを使って客先訪問を極力抑える営業が一般化し、これまでの「足で稼ぐ」スタイルから「デジタルで稼ぐ」時代になりつつあります。

長引く混乱の中で迎えた「ニューノーマル(新しい日常)」で、営業部門はどのように進化し、成果を上げることができるのでしょうか。時代に即したデジタル化の進め方や、生産性向上につなげるためのポイントなどを考えてみましょう。

いま必要な営業手法の抜本的見直し

営業は足で稼ぐもの ー 営業以外の職種の人でも、一度はこの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。営業担当者は企業と顧客・取引先との間をつなぐ役割を果たすため、客先に赴く外回りやルートセールスを重ねたり、展示会などのイベントで見込み客を獲得して受注につなげるといった「積極的に出向いて行う」営業活動を続けてきました。

これに対してスマートフォンなどのモバイル端末、メール、ビデオ会議システムなどのデジタルツールを用い、直接客先へ赴かずに営業活動を行う方法もあります。「オンライン営業」と呼ばれるこの仕組みは、海外に拠点を持つ企業やITビジネスを手がける企業を中心にこれまでも導入の動きが見られましたが、2020年に入り、コロナ禍により対面での営業活動が困難になったことから一気に普及が加速しました。現在は程度の差はあれ、多くの企業が営業手段としてデジタルツールを活用しています。

ところが最近、オンライン営業を導入している現場からは、「成約率が低下した」「顧客のニーズがつかみにくい」といった声が聞かれるようになっています。これらは一概にオンライン化の弊害とは言えませんが、長年培った「足で稼ぐ営業」のスキル・ノウハウを単純にオンラインへと置き換えることは難しく、オンラインならではのデジタル化された営業手法を創出する必要があるでしょう。

デジタル化に向けた準備のポイント

オフィスの会議室でビデオ会議する人々

それでは、ニューノーマル時代で「避けて通れない」要素となったデジタル化に向けて、営業部門はどのような準備をしていけばよいのでしょうか。

現在、営業で広く用いられているデジタルツールの一つであるビデオ会議システムを例に、準備のポイントを考えてみます。客先に出向く必要がなく、在宅でも簡単に商談できる便利なビデオ会議システムが、営業効率アップに役立つことは言うまでもありません。ただし、単に会話するだけでは従来の電話営業とそれほど大きく変わらないのも事実です。デジタル名刺を活用したり、ビデオ会議に適した形で資料を準備・プレゼンを行うなど、オンライン営業ならではの工夫が必要です。また、さらなるデジタル化を進めるためには、自社システムやSalesforceなど外部システムと連携して顧客情報や取引内容といった詳細なデータを管理・分析し、会話から得られた情報をチームで共有、活用するなどの道筋を整備する必要もあるでしょう。後者に関してはまだ「これから」という企業も多いと思われますが、日本でも急速に進むデジタルトランスフォーメーション(DX)につなげるためにも、積極的な展開をめざすべきでしょう。

また、デジタル化を進める中でよく問題になるのが、安易なデジタルツールの導入がもたらすトラブルです。かつて1990年代にパソコンの普及が始まった頃、「これからは情報化社会」という掛け声に乗る形で機器、システムを購入し、結局活用されないまま陳腐化してしまった事例が多くありました。これはオンライン営業でも同様です。導入に際しては事前に利用者から十分なヒアリングを行い、自社の状況を把握して必要な部分から順次進めていくことが重要です。

一方、企業によっては個々の営業メンバーが自分の情報を「抱え込む」傾向が強く、共有を前提としたチームとしての営業活動に抵抗を感じている場合もあります。デジタル化は情報共有が前提となる部分が多いため、まずはチーム全体で共有・協調の意識を醸成し、総合力を高める素地を固めていきましょう。

営業で使えるデジタルツールあれこれ

営業向けのデジタル分析ツール

営業部門で活用できるデジタルツールは各種あります。以下、代表的なものをご紹介します。

コミュニケーションツール(会議、商談、プレゼン)

ビデオ会議システム(Zoom、Teams、ベルフェイスなど)や社内のコミュニケーションに特化したチャットツール(Slack、Chatworkなど)があります。ビデオ会議システムは、電話やメールでは伝えにくい、しかし対面で会うのは難しい、といった場面で活用できます。プレゼンテーションやデモを表示しながら説明したり、録画機能を使えば参加できなかったメンバーに後で共有することもできます。また、チャットツールの導入により、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。

コンテンツ共有

紙の資料のデジタル化が進むとともに、オンライン上で効率的にファイルの保存・共有ができるサービス(Box、Dropbox、Google Driveなど)の普及が進んでいます。社内外のメンバーとのスムーズな共同作業を可能にしたり、オンライン会議だけでは伝えきれない情報をさまざまなファイル形式で補足することもできます。

スケジュール、タスク管理

社内ミーティングや取引先との商談を設定する際、スケジュール管理ツール(TimeTree、Googleカレンダーなど)を活用することで、各営業担当者の空き時間を可視化し、スケジュール調整が容易になります。また、タスク管理ツール(Trello、Asana、Todoistなど)によって各メンバーが担当している業務の進捗状況や、期日までに完了すべき項目を表示し、チームの運営管理に役立てることができます。

営業活動支援

日々のさまざまな営業活動を総合的に支援するSFAソリューション(Sales Force Automation / セールス・フォース・オートメーション)。今まで個々の営業担当者のスキルやノウハウに頼っていた営業スタイルを標準化・自動化し、商談の進捗状況や契約金額の目安、成約確度など商談に関する情報を一元管理することで、営業活動の効率化を図ることができます。

なお、SFAとともに語られることの多いCRMとは、Customer Relationship Managementの略で、日本語では顧客関係管理と訳されています。CRMは営業部門以外にも顧客との接点を持つカスタマーサポート部門やマーケティング部門などの部署を含め、より広い範囲で顧客との関係性を構築していくことを目指しています。

業務改善

営業業務は情報収集からはじまり、見込み客へのアプローチ、提案・見積もり、成約、納品、導入支援(フォロー)と多岐に渡ります。たとえば、契約プロセスを効率化する電子署名サービス(ドキュサインの電子署名など)、ビジネスアプリ作成システム(kintone、Glideなど)などを活用することで、それぞれの業務を効率化することができます。

BI(データ分析)

タスクやプロセスをデジタル化して終わりではなく、営業活動で得た大量のデータを分析・活用するためにはBI(Business Intelligence)ツールによるデータ分析も重要です(LaKeel BI、MOTION BOARDなど)。数字だけでは理解しにくかったデータをグラフや表、ヒートマップなどで可視化したり、レポート作成に要する手間の軽減、問題点や課題の早期発見など多くのメリットがあります。

これらのツールは営業部門に限らず、企業活動の幅広い領域で活用可能です。導入はクラウド・オンプレミスの双方に対応し、価格も有償・無償とさまざまですので、目的とニーズに合わせて検討しましょう。

まとめ

コロナ収束後もデジタルツールを活用した営業スタイルがなくなることはないでしょう。それは、デジタルツールによって営業担当者がより本質的な部分に時間を使うことができ、属人化しやすい営業活動を見える化し、営業データを活用した更なる発展が期待できるからです。ただし、顧客との関係を築き、直接向き合って微妙なニュアンスや感情の動きを伝えることができる、対面でのコミュケーションに大きな価値があることには変わりありません。「足で稼ぐ営業」の価値を認めつつ、デジタル化によって相乗効果を生み出し、長期的な視点で効率化や生産性を考えることが重要なのではないでしょうか。

営業部門は他の部署に比べると「数字を上げる人、デキる人」が脚光を浴びがちですが、チームのメンバー全員が協力してスキルを高めることは、将来のDX実現にもつながる有意義な取り組みと認識しましょう。

おすすめ記事:営業支援とは?メリット・手法・営業支援ツールの種類を解説 | 転職エージェントの株式会社Izul(イズル)

安達 智洋リード・コンテンツ・マネージャー
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